株式を保有している人でも、株主配当がどのように決まり、配当金が何なのか、そしていつ支払われるのかは漠然としか知らないのではないでしょうか?

そこで、株式投資家が株主配当で知るべき内容を、発行体(株式を発行する主体)側に立って説明したいと思います。

債券投資家と株式投資家ではリスク・リターンの性質が大きく異なるからです。債券投資では、投資期間とキャッシュフロー(固定利率の場合)が確定しており、発行体には法的な支払い義務もあります。

しかし、株式投資は、投資期間とキャッシュフローが確定していません。よって、株式投資家は株式配当に対してセンシティブにならざる得ません。

株式投資でのリスク・リターンの基本として読んでもらえたらと思います。

スポンサーリンク

配当政策とは

配当政策とは、株式会社の純利益の何%を株主配当の原資にするかを決めることです。株主配当への原資以外の金額は次年度以降の投資に回されることになります。

高配当率となるのは、株式会社の成長率が低いことがあります。これは、高成長率の株式会社は配当率が低くなる傾向があるからです。なぜ配当率が低くなるかというと、株式会社の成長には次年度以降の投資額が必要になるからです。

ただし、配当率が低いことが株価の低下を引き起こす恐れもあります。そこで、株式会社の財務戦略もしくは経営企画を担う部署では、株価を高値で維持できるように成長率と配当率の舵取りを行います。この中で重要な要因は、次年度以降に予定している投資金額です。

また、株式会社は毎年利益が変動するにもかかわらず、通常は安定した配当率を維持しようとします。なぜならば、多くの株主は毎年一定の配当を受けることを期待して株式を購入しているからです。

株主が安定的な配当を望むことの研究は多数されており、株主配当の政策変更は株式会社の経営陣の将来の収益予測に対する重要なメッセージが含まれていると考えられております。

株式市場での株価にも影響を与えます。したがって、株式会社は配当政策に関して、慎重かつ積極的な政策を立てることになります。また、安定的な配当が続くことは、不要な企業リスクを株主に与えることがなく、不要な株価急落要因を生みません。

配当政策に影響を与える要因とは

法的規制

一般的に、株主配当の原資を株主からの払込資本に充てることはできません。なので、株式会社は配当を支払う前に利益剰余金がなければいけません。

収益の安定性

収益が毎年大きく変動する株式会社は、利益が低くても同じ配当を支払うことができるような考えをする傾向があります。

例えば、収益が大きく変動する株式会社は、1株あたり1ドルの配当を支払うと決めた安定配当政策をとります。これは、1株あたりの利益が10ドル(10%の配当性向)の時も、1株あたりの利益が1ドル(100%の配当性向)でも、安定的に株主に配当を支払えるからです。

配当性向とは、1株あたりの利益から何割が実際の株主配当になるかを示す指標です。

成長率の高い企業

早いスピードで成長する株式会社は、生み出した利益を成長のための投資に充てる必要性が高くなります。したがって、成長する株式会社では配当性向が低くなります。また、株主も将来のより大きなキャピタルゲイン(株を売却して得る利益)を望んでいるので株式会社と株主の思惑が一致します。

キャッシュポジション(現金保有)

株式会社の業績に関係なく、配当金を支払う前に現金を利用可能にする必要があります。仮に株式会社の収益のすべてが負債に充てられると、当然ながら株主配当をすることはできません。

債務(社債等)契約の制限

債務(社債等)契約の中に配当に関する制限条項があれば、条項に縛られることで株主配当が制限を受けることがあります。

株主の課税効果

特に大株主にとっての頭を悩ませる問題は税金です。税効果によっては、定期的な配当よりも将来のキャピタルゲインを望むことがあります。これについては、大株主の意向を忖度することがあります。

ただし、合理的に説明できる以上の内部留保金が株式会社に累積された場合、株式会社に対しての課税額が増える可能性があります。

配当の残余理論

株主配当として支払われる利益の金額は、次年度以降の投資機会および資本コストが最小限に抑えられる負債と資本の比率に依存するという理論です。合理的な株主(株式投資家)は、投資先株式会社に期待収益率(リスク対比)が高い投資機会がある場合には、利益剰余金を再投資に優先するべきだと考えます。

しかし、投資機会が乏しく、利益剰余金を利用することで効率的な資本構成から乖離する場合は、株式投資家は配当での支払いを望むことがあります。

配当に関する重要な日とは

配当宣言日とは、取締役会において配当を宣言する日です。この日をもって株主配当をすることが株式会社の責任となります。

記録日とは、株式会社が配当宣言した株主配当を受けとれる株主を決定する日です。この決定日に株主名簿に載っている株主が対象となります。記録日は、通常(米国では)、宣言日から2週間から6週間後になります。

配当日は株主に実際に配当が支払われる日です。支払日は、通常、記録日から2〜4週間後になりますが、株式会社により異なります。

尚、記録日以降に株式を売却しても記録日に株主名簿に記載されている株主には配当が支払われます。逆に記録日以降に株を取得した株主は支払日が到来しても配当を受け取ることはできません。

一般的には、記録日以降の投資家は配当を受け取ることができないため、配当金の額によって株価が配当日に下落します。

スポンサーリンク

株式配当および株式分割とは

現金配当が最も一般的ですが、他の配当もあります。

株式配当

株式配当とは、株式発行であり配当する金額を払込資本勘定へ振替えます。

株式会社は、次年度以降の投資資金が必要な場合、現金以外の配当で株主に貢献したいと考えます。株主によっては、本質的には保有している株が増えることで、何らかの価値を享受したと信じることがありますが、実際は株式リスクが増えたと考える方が賢明です。

株式配当は、成長する株式会社が株主の立場に立って利益を確保したいと考えている場合、頻繁に使用されます。

株式分割

株式分割とは、市場に出回っている既存の株式を分割するので、1株当たりの市場価格は低下します。

例えば、株式会社が100万株の発行済株式を保有しており、1株あたりの株価が90ドルだった場合、1:2の株式分割が行われると、保有株式は200万株なるが、1株あたりの株価は45ドルになります。

また、逆株式分割により発行株式数が減少することもあります。例えば、200万株を100万株にするなどです。

株式分割による配当のメリット

株式分割ではより多くの株式が市場に出回るため1株あたりの価格は低下します。 1株あたりの価格が安くなれば、より多くの株式投資家に株式を購入してもらうことになりますので、株式の需要が強くなれば、株価上昇の可能性はあります。

上記の例で言えば、90ドルでは興味がなかった株式投資家が株式分割した理論上の45ドルよりも多少高い価格の46ドルまたは47ドルで購入すれば、既存の株主が株式分割の恩恵を受けることになります。

ただし、株式分割による株価への影響はさまざまな意見があり、株式分割による株価の上昇はありえないと論じているアナリストも多数います。

基本的に、優良で成長が見込める株式会社であれば市場に株価が多く出回っても、特に有名メーカーであればファンが増え株主数は増加するはずです。

まれに、株価を引き上げるために逆株式分割を利用することがあります。例えば、10:1の株式分割は、株主が新規株式1株と旧株式10株を交換することです。

自社株買いとは

自社株買いは、株式会社が証券市場で自己株式を買い取ることです。自社の所持する株式を自己株式と呼びます。

自社株買いの動機

自社株買いを行う動機は、1株利益の向上、敵対的買収の防御手段、株式オプション等々、さまざま要因があります。

まとめ

株主配当における基本的な用語や仕組みを説明しました。

機関投資家は株式を購入する際は、このような知識が前提で議論します。1回読んだだけではスッキリ理解できないかもしれませんが、株式投資とは高リスクにより高リターンが得られるんだと割り切って何度か読んでいただけると幸いです。

スポンサーリンク