支払能力とは?経営分析や財務分析に役立つ指標を知りたい方へ

支払能力とは、企業がゴーイングコンサーン(企業が将来に渡って事業を継続していく前提)していくために、貸借対照表(B/S)の右側である負債と資本の状況を把握することに使う指標です。


資本構成比率(Capital Structure Ratios)

ここでは、サンプル損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)を使って実際に負債と資本の構成を把握するための4つの指標を紹介します(単位:百万円)。

科目 金額
売上高 1,800
売上原価 (1,450)
売上総利益 350 
販売費及び一般管理費 (160)
営業利益 190 
その他収益、費用 (40)
経常利益 150 
支払利息 (15)
税引前当期純利益 135 
法人税等(40%) (54)
当期純利益  81

 

資産 当年度末 昨年度末 負債 当年度末 昨年度末
流動資産  760 635 流動負債 390 275
固定資産 1,040 965 固定負債 610 675
負債 1,000  950 
純資産 800  650 
総資産 1,800  1,600   負債 + 純資産  1,800 1,600

負債総資本比率(Total Debt to Total Capital Ratio)

  • 負債/総資本

当年度末:1,000/1,800 = 55.6%となります。
昨年度末:950/1,600 = 59.4%となります。

ここでの総資本は、負債 + 純資産となります。いわゆる、純資産(Total Equity)以外の負債(Liabilities)も含めた全ての数値(Capital)となります。

なぜ、総資本を負債 + 純資産にするかというと、この数字は貸付金や社債を保有している債権者(=負債)の視点に重点を置いた指標だからです。

今回のサンプルでは、当年度末は昨年度末に比べて負債と純資産が増加し企業が拡大している反面、負債総資本比率が下がっています。これは債権者からすると好ましい状況です。なぜならば、企業の負債レバレッジは下がることで株主からの出資も含めた純資産というクッションが厚くなったと言えるからです。

当然、企業の返済義務は負債>株主ですが、債権者としてはより純資産のクッションが厚いほうが安心感はありますよね。

ただし、負債をどんどん圧縮すれば良いのかというとそういうわけではないのが経営の難しいところです。ファイナンスの範囲外ですが、チャンスを捉えて勝負する時に適切に行動できることがビジネスでは重要になります。

負債資本倍率(Debt to Equity Ratio)

  • 負債/資本

当年度末:1,000/800 = 1.25となります。
昨年度末:950/650 = 1.46となります。

DEレシオとも呼ばれたりします。

負債資本倍率は、負債が資本の何倍であるかを示す指標です。

今回のサンプルでは、当年度末は昨年度末に比べて、負債資本倍率が下がっています。債権者からすると好ましい状況です。なぜならば、株主からの出資も含めた純資産というクッションが厚くなったと言えるからです。

一般的に、負債資本倍率が1倍を下回ると財務基盤が安定していると言いますが、企業のおかれている状況や財務戦略によって異なるので、実際はなんとも言えません。

長期負債資本倍率(Long-Term Debt to Equity Ratio)

  • 長期負債/資本

当年度末:610/800 = 0.76となります。
昨年度末:675/650 = 1.04となります。

長期負債は固定負債と読み替えてほぼ問題ありません。この数値は長期の返済義務のある固定負債が資本の何倍であるかを示す指標です。

今回のサンプルでは、当年度末は昨年度末に比べて、長期負債資本倍率が下がっています。

この数値が低ければ、マーケットの金利水準と企業のクレジットリスク(格付け)によっては、負債の新規発行による資金調達も可能となり財務戦略の幅が広がります。

総資産負債比率(Debt to Total Assets Ratio)

  • 負債/総資産

当年度末:1,000/1,800 = 55.6%となります。
昨年度末:950/1,600 = 59.4%となります。

総資産負債比率は、負債が総資産の何倍であるかを示す指標です。

返済義務のある負債が資産のに対してどの程度あるかを示す指標です。尚、この数値に関しては、負債総資本比率と同値になります。

収益カバレッジ(Earnings Coverage)

収益カバレッジとは、返済義務のある負債の支払い(特に金利負担)に対しての支払能力を測る指標です。

利息負担倍率(Times Interest Earned Ratio)

  • EBIT/支払利息

当年度末:150/15 = 10.0となります。
昨年度末:125/10 = 12.5となります。

今回のサンプルでは、EBITを経常利益としています。

利息負担倍率が大きければ大きいほど、支払利息に対して安全度が増すことになります。一般的に10倍以上あることが望ましいと言われますが、これも企業のおかれている状況や財務戦略によって大きく変わります。

債権者にとっては、支払利息前の利益が多いほど安心度は高いことになります。

まとめ

支払能力に関しては、特に債権者(債券投資家)が注目する数値になります。貸付金や社債を保有している人は、投資先の各種数値を把握しておくのは基本です。

また、自社の財務戦略を練る上で各数値を定期的に確認したり、社債や株式を発行した場合の影響を確認する必要もあります。