リスク・リターンの関係と分析結果の意味するところは?

資産運用では、リスク・リターンを理解していることが重要となります。リスク・リターンの関係と分析結果を理解していないと、儲からないことやメリットのないことにお金や労力を注ぎ込んでしまいます。

そもそも、リスク・リターンとはなにかというと、株、債券、為替等々の金融商品の将来価格(リターン)とその乖離幅(リスク)をいいます。

よって、乖離幅=リスクなので、リターンがマイナスになるだけではなく、プラスになることもリスクと呼ぶのがポイントです。

また、リターンは現在価格と将来価格から決まるので、基本的には期待リターンといいます(実現すれば実現リターンといいます)。


株式甲と株式乙のどちらに投資するのが合理的なのか?

Aさん、Bさん、Cさんの株式投資チームは100億円の運用資金を期間1年で、株式甲と株式乙のどちらかに投資することを考えています(相関、株式甲と株式乙の組み合わせは考えない)。Aさん、Bさん、Cさんは期待リターンを下記のように考えています。

<期待リターンと発生確率>

株式投資チーム 株式甲 株式乙 発生確率
Aさん 7% 15% 1/3
Bさん 5% 5% 1/3
Cさん 3% −5% 1/3

よく、この発生確率がリスクだと勘違いしている人がいますが、この発生確率はあくまでも発生する可能性であり、リスクそのものではありません。

株式投資チームの期待リターンは、Aさん、Bさん、Cさんの発生確率×期待リターンの合計で求められ、株式投資チームのリスクは、標準偏差で求められます。

標準偏差とは、期待リターンからの乖離幅です。

標準偏差=(Aさんの発生確率×(Aさんの期待リターン-株式投資チームの期待リターン)2+Bさんの発生確率×(Bさんの期待リターン-株式投資チームの期待リターン)2+Cさんの発生確率×(Cさんの期待リターン-株式投資チームの期待リターン)21/2

<株式甲の期待リターンとリスク>

株式投資チームの期待リターン=1/3×7%+1/3×5%+1/3×3%=

株式投資チームのリスク=(1/3×(7%-5%)2+1/3×(5%-5%)2+1/3×(3%-5%)21/21.63%

<株式乙の期待リターンとリスク>

株式投資チームの期待リターン=1/3×15%+1/3×5%+1/3×-5%=

株式投資チームのリスク=(1/3×(15%-5%)2+1/3×(5%-5%)2+1/3×(-5%-5%)21/28.16%

なんと、株式甲と株式乙は同じ期待リターンなのに、リスクは約5倍も違う分析結果になることがわかりました。

リターンが同じなのにリスクが異なるのはなぜか?

リスクとは期待リターンの乖離幅となるため、株式甲よりも株式乙に対するAさん、Bさん、Cさんの予想する期待リターンの乖離幅の大きさがそのままリスクとして計算されたのです。

言い換えれば、分析の結果が意味するところは、株式乙は期待リターンへの不確定要素が大きいといえるのです。この前提条件だけで投資判断するならば、株式甲への投資が合理的となりますね。

この期待リターンと発生確率ですが、さまざまな分析手法で生成されます。

機関投資家であれば、期待リターンはヒストリカルデータであったり、グローバル企業であれば本社から求められる利益目標から逆算したり、発生確率は肩書(チーフトレーダー、シニアトレーダー等々)で重み付けしたり、合意と納得ができて外部に説明できればいいのですが、この辺は組織の裏が見え隠れしますよね。

よって、非常にナイーブな前提条件となりますが、リスク・リターンとは概念的には対になっており、鏡になっているはずなのです。期待リターンと発生確率が決まれば、リスクに比べて著しく期待リターンが低かったり、リスクに比べて期待リターンが著しく高かったりするのはありえないのです。

リスク・リターンの関係を理解しないと意味を間違えてしまう

「この金融商品はリスクが高いから投資しない」という会話も論理的におかしくなります。正確には、「この金融商品はリスクが高いけど、期待リターンが低いから投資しない」となり、「この商品はリスクが高いけど、その分期待リターンも相当に高い」ならば、それは一考に値するわけです(もちろん、前提条件等が合理的であることが必要)。

忘れてはいけないのが、リスク・リターンは必ずしも分析した結果が確定していないことです。要するに、金融商品の価格が刻一刻と変化しているのは、売り手と買い手が常に経済環境の変化によってリスク・リターンの評価を変えているからなのです。

  • リスク・リターンの関係と分析結果はナイーブな前提条件の上に成り立っている
  • リスク・リターンが合理的であれば鏡となる
  • リスク・リターンの評価が売り手と買い手で異なるから価格が刻一刻と変化する

リスク・リターンは重要な概念なのですが、リスクとリターンとの関係と分析結果が意味するとこを前提条件からキチンと知っておかないと無意味になってしまうのです。