収益率とは?損益計算書と貸借対照表から求める方法を知りたい方へ

収益率とは、端的に言うと損益計算書(P/L)というフローの数値と貸借対照表(B/S)というストックの数値から収益を計算することです。

財務諸表からなので、会計ベースの収益率を計算することになります。

ただし、『収益率とはコレ!!』とひとつの確立した数値ではなく目的によって変わりますので、そこは注意が必要です。


損益計算書(P/L)からの収益率計算

損益計算書(P/L)からの収益率計算では、基準(分母)は売上高となります。

よって、損益計算書(P/L)を作成した期間の売上高に対して、売上総利益、営業利益、当期純利益の比率を計算することになります。

売上高が損益計算書(P/L)の一番上の項目であることから、トップラインと言ったりします。

例えば、「トップライン(売上高)を○○増やせば△△利益率は××になる」とか言うわけですね。その後に必ず、「トップラインだけじゃなくて、資産運用でもストレッチできないのか!!」とかムチャぶりがでたりします。

ではさっそく、サンプル損益計算書(P/L)で実際の計算をしてみましょう(単位:百万円)。

科目 金額
売上高 1,800
売上原価 (1,450)
売上総利益 350 
販売費及び一般管理費 (160)
営業利益 190 
その他収益、費用 (40)
経常利益 150 
支払利息 (15)
税引前当期純利益 135 
法人税等(40%) (54)
当期純利益  81

売上総利益率(Gross Profit Margin Profit)

  • (売上高 – 売上原価)/売上高

(1,800 – 1,450)/1,800 = 19.4%となります。

売上総利益率は、売上総利益(=売上高 – 売上原価)を売上高で除した数値となり、売上高と売上原価の関係です。

よって、販売価格と販売原価の単位当たりの価格と費用が変化しなければ、売上高が15%増加または15%減少しても売上総利益率は変化しません。

営業利益率(Operating Profit Margin)

  • 営業利益/売上高

190/1,800 = 10.6%となります。

営業利益率は、営業利益(=売上総利益 – 販売費及び一般管理費)を売上高で除した数値となり、売上高と本業の利益との関係です。トップラインと本業の利益率は重要な数値となります。

よって、いわゆる販売促進のための費用や本業で掛かる費用が含まれるので、従業員の給料や賞与も含まれますので、本業が傾いてくると営業利益率を上げるために意味不明なさまざまな削減案が社内で提案されるわけですね。

筋肉質な企業を目指しますとか言い出すのはこの数値が下降しているときです。

支払利息前・税引前利益(EBIT)

  • EBIT : Earnings Before Interest and Taxes

この数値は、税引前当期純利益に社債または借入金などの金利利息を戻した数値となります。

なぜ、この数値を収益率の中に入れたかというと、創業間もない会社や事業は借入金が負担が大きい可能性があります。その部分を除いて収益を評価するという考え方です。

例えば、投資先の会社が創業間もないとこの数値をモニタリングします。最近は、大企業でもEBITが財務戦略の重要なポイントになっていますね。

本質は金利利息を控除することなので、営業利益、経常利益、税引前利益など数値から計算するなどの複数の方法があります。

当期純利益率(Net Profit Margin Ratio)

  • 当期純利益/売上高

81/1,800 = 4.5%となります。

当期純利益率は、税引後当期純利益を売上高で除した数値となり、売上高に対して会社の最終的な当期純利益の関係になります。

当期純利益率は、当期純利益が株主配当の原資になるため、株主が注目する数値になります。株主にもさまざまな種類が存在し、本業での利益向上を気にする長期保有目的株主もいれば、とにかく配当を重視する株主もいるからです。

誤解を恐れずにいうと、企業内での目標が当期純利益や当期純利益率となるとは限りません。なぜならば、法人税等の影響があるあからです。当期純利益があくまでも会計上の利益となることも大きいです。

実際は、経済価値ベースでの数値が目標になることが多いです。誤解のないよういいますが、会計ベースの数値が重要でないと言っているわけではないです。

損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)からの収益率計算

損益計算書(P/L)の当期純利益が貸借対照表(B/S)の総資産と総資本対比での収益率がどのようになっているかを計算します。

総資産対比の収益率であれば、負債+資本のコスト(Weighted-average cost of capital:WACC)に対してどうなのか?
総資本対比の収益率であれば、株主という最大のリスクテイカーに対してどうなのか?

をモニタリングする必要があります。

サンプル損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)で実際の計算をしてみましょう(単位:百万円)。

科目 金額
売上高 1,800
売上原価 (1,450)
売上総利益 350 
販売費及び一般管理費 (160)
営業利益 190 
その他収益、費用 (40)
経常利益 150 
支払利息 (15)
税引前当期純利益 135 
法人税等(40%) (54)
当期純利益  81

 

資産 当年度末 昨年度末 負債 当年度末 昨年度末
流動資産  760 635 流動負債 390 275
固定資産 1,040 965 固定負債 610 675
負債 1,000  950 
純資産 800  650 
総資産 1,800  1,600   負債 + 純資産  1,800 1,600

総資産利益率(Return on Assets:ROA)

  • 当期純利益/平均総資産

81/{(1,800 + 1,600)/2} = 4.8%となります。

総資産利益率は、貸借対照表(B/S)の左側の資産全体と当期純利益の関係です。

企業の保有する資産から生み出される当期純利益がどれだけなのかを測る指標です。企業が効率的な資産運用を目標にするのであればこの数値を重要視することもありえます。どちらかというと、企業のマネジメントが意識する数値です。

また、分母の総資産を平均するのは分子の当期純利益が期間損益となるため、分母の総資産も期首と期末の平均としています。

もっと具体的にいうと、当期純利益も総資産も期の真ん中で発生して計算した前提です。これは期首または期末の一時点の数値で計算するよりも合理的といえます。

総資本利益率(Return on Equity:ROE)

  • 当期純利益/平均総資本

81/{(800 + 650)/2} = 11.2%となります。

総資本利益率は、貸借対照表(B/S)の右下の純資産と当期純利益の関係です。

企業が株主からの出資や過去の利益の積み上げから生み出される当期純利益がどれだけなのかを測る指標です。企業は株主のモノなので、資本対比で効率的な資産運用は企業のマネジメントとして重要視しなければいけません。企業のマネジメントと同時に株主も目を光らせている数値です。

また、分母の総資本を平均するのは分子の当期純利益が期間損益となるため、分母の資本も期首と期末の平均としています。総資産利益率と同じ理由です。

サスティナブル成長率(Sustainable Growth Rate)

  • ROE ✕ (1 – 配当性向率)

サスティナブル成長率とは、会社のポテンシャル成長率です。ポテンシャルなので外部からの資金調達なしでどれだけ成長できるかを示す指標です。

まず、配当性向率を説明します。

配当性向率:「株主に配当する1株あたりの金額」を「1株あたりの当期純利益」で除した数字(パーセンテージ)です。

例えば、100株が市場に出回ってる株式会社の当期純利益が100億円だったとします。来期に投資妙味がある案件が控えているので50億円は内部留保、株主配当は50億円にすることを取締役会で決めました。この時の配当性向率は何%でしょうか?

・株主に配当する1株あたりの金額:50億円/100株 = 5,000万円
・1株あたりの当期純利益:100億円/100株 = 10,000万円

よって、配当性向率は、

5,000/10,000 = 50%となります。

この50%の意味するところは、「当期純利益の50%が株主に配当された」ということです。

結局、サスティナブル成長率の式からわかるように、総資本利益率で当期純利益から株主に配当していない金額を増やして成長することを意味しています。

株主としては、ROEが魅力的でない経営であれば、サスティナブル成長率なんて期待しないで配当性向率を増やせと株主総会で叫ぶこともあります。

デュポン分析(DuPont Model Analysis)

デュポン分析とは、総資産利益率(ROA)と総資本利益率(ROE)を要素分解して分析することです。

デュポン分析ー総資産利益率(Return on Assets:ROA)

  • (当期純利益/売上高)✕(売上高/平均総資産)

総資産利益率(ROA)は、

当期純利益/売上高:当期純利益率
売上高/平均総資産:総資産回転率

に分解できます。

当期純利益率は上記で説明済みなので省略しますが、総資産回転率とは、売上高と総資産の関係です。売上高が増えれば総資産回転率が上がり、効率的な資産運用をしていることになります。

デュポン分析ー総資本利益率(Return on Equity:ROE)

  • (当期純利益/売上高)✕(売上高/平均総資産)✕(平均総資産/平均総資本)

総資本利益率(ROE)は、

当期純利益/売上高:当期純利益率
売上高/平均総資産:総資産回転率
平均総資産/平均総資本:財務レバレッジ

に分解できます。

当期純利益率、総資産回転率は上記で説明済みなので省略しますが、財務レバレッジとは、資産と資本の関係です。

当期純利益率と総資産回転率は高ければ、高いほど経営陣の評価は高いですが、財務レバレッジは注意が必要です。

なぜならば、財務レバレッジが高いというのは、資本に対して資産が大きいことになりその要因は、負債の大きさになるからです。株主は負債への支払い後の当期純利益が株主配当の原資になるからです。

まとめ

収益率や利益率を知ることは資産運用をするうえで、重要なスキルのひとつです。

なぜならば、投資先の企業の(会計上の)儲けが把握できることになるからです。これはもう一歩先の思考になりますが、収益率は『企業の雇われ経営陣の立場』と『株主の立場』では意味することが異なってきますので、指標を捉える力も必要になります。