ポートフォリオを構成する際の銘柄の組み合わせとウェイトは無数に考えられるが、そのなかで同じ期待リターンで最もリスクが低いポートフォリオ、あるいは同じリスクで最も期待リターンが高いポートフォリオを効率的ポートフォリオと呼びます。

 

また、効率的フロンティアとは、任意の期待値の水準でリスクを最小化させるポートフォリの集合を求めることです。

 

効率的ポートフォリオ

投資家は、ポートフォリオ構築する際にはリターン最大化とリスク最小化を目指します。効率的ポートフォリオとは、リスクが同じならば期待収益率が最も高く、期待収益率が同じであればリスクが最も低いポートフォリオです。

 

無差別曲線とは、投資家が同等の効用と判断するポートフォリオの組み合わせです。リスクを横軸、リターンを縦軸にプロットします。例えば、投資家がリスク回避であるとすれば、曲線は正の傾きを持つことになる。これは、リスクが増加することに伴いリスク増加分のリターンも増加するからです。

 

  • 無差別曲線の傾きが急であればあるほど、投資家のリスク回避度は高いです。
  • 曲線の位置が高ければ高いほど、投資家の効用は高いです。
  • 下図では、A、B、C、D、Eは無差別曲線です。 Aは効用が最高水準をとなり、Eは最低水準となります。与えられた曲線上で、各点はリスク回避投資家と同じ効用となります。例えば、1、2、3の点は、同じ効用を満たすリスク・リターンの組み合わせです。投資家がどの組み合わせを選ぶかは無差別です。

 

会社のポートフォリオ管理には、2つの重要な決定が必要となります。

 

  1. 投資金額
  2. 投資先の有価証券

 

有価証券への投資は、キャッシュ・フローおよびキャッシュ・フローの評価(確実性の評価)に基づいて行われます。また、キャシュ・フローのインフローとアウトフローを一致させてポートフォリオを管理することにより、平均リターンと柔軟性を向上することができます。

 

キャッシュ・フローのインフローとアウトフローをマッチングさせることにより予期せぬ有価証券の売却の発生確率を低くできます。

 

また、キャッシュ・フローが比較的不確実な場合、有価証券の流動性および信用リスクは考慮すべき重要な要因です。忘れがちですが、取引コストも考慮すべき要因です。

 

利回りの高い長期の有価証券は、キャッシュ・フローの不確実性が高くなります。キャッシュ・フローが安定的である場合、満期日が重要となります。

 

ヘッジ

ヘッジとは、価格変動からの損失を最小化または回避するために使用するプロセスです。ヘッジ取引には、有価証券、商品(コモディティ)の購入、外国通貨のポジションからの損失を回避するために使用されることが多いです。

 

したがって、デリバティブまたはその他の金融商品の購入と売却が、保有資産の価格変動リスク(損失リスク)を低減するために実行した場合にはヘッジとなります。

 

例えば、パン製造会社が毎月小麦を100万ドル購入して使用する場合、小麦の価格高騰による販売価格への影響リスクを回避することは重要なことです。この場合、小麦の購入価格が上昇すれば利益の発生する小麦の先物契約(現時点で将来の小麦の購入価格を決める契約)をすることでリスクを低減できます。

 

2つの異なる商品(金融商品を含む)に投資することで、財務リスクを軽減するヘッジ方法もあります。しかし、このヘッジ方法はすべてのリスクを排除しないので完璧な方法とは言えません。

 

保険商品を購入することでヘッジすることもできます。また、ペア取引(ペア・トレード)として、お互いに相関関係が高い株式のロング・ポジションおよびショート・ポジションの購入は有価証券をヘッジする有効な手法となります。

 

一般的に、株と債券はお互いに負の相関があるため、お互いのリスクを相殺するヘッジ効果があると言われます。上記の小麦の例にあるような、商品を先物契約でヘッジすることもあります。

 

リスク測定

リスクとは、実際収益率が期待収益率と振れる可能性のことです。よって、実際収益率が期待収益率よりも下回るだけではなく上回る場合もリスクとなります。

 

投資に対する期待収益率(R)は、期待値と発生確率によって計算します。これは、発生確率で重み付けされた結果です。

 

期待収益率(R)=Σ(収益率の期待値 × 確率)

 

リスク測定する1つの方法は、標準偏差(分散)である。標準偏差は、投資リスクを再評価することに有効です。

 

標準偏差が大きい場合、広く分散された確率分布となり、リターンの範囲が広い反面リスクは高くなります。逆に、標準偏差が小さい場合、狭く分散された確率分布となり、リターンの範囲は狭い反面リスクは低くなります。したがって、標準偏差が大きいほどリスクの高い投資になります。

 

有価証券リスクとポートフォリオリスク

有価証券リスクは、個別の有価証券への投資で必要になります。しかし、ポートフォリオの場合は、リスク・リターンは個別の資産単位ではなく、ポートフォリオ全体で評価することになります。

 

ポートフォリオの期待リターンは、個別の有価証券の加重平均となります。しかし、ポートフォリオのリスクは特定の有価証券の平均標準偏差ではありません。複数の有価証券の分散効果によってポートフォリオのリスクは平均標準偏差より小さくなります。

 

相関

相関係数(r)は、任意の2つの変数、例えば、ポートフォリオ内の2つの株式の関係性の強さを測定します。相関係数の範囲は、+1.0 〜 -1.0の範囲となります。

 

  • 完全な正の相関(+1.0)は、2つの変数が常に同じ方向に動くことです。
  • 完全な負の相関(-1.0)は、2つの変数が常に反対の方向に動くことです。

 

完全な負の相関となれば、リスクは理論的にはゼロになります。相関を使ったリスクヘッジは主に株式投資で使用されます。ただし、市場リスクの存在により完全な相関は有りえません(不可能です)。

 

株式市場から任意に2つの株を選択した際の相関は、概ね0.5 〜 0.7程度となります。リスクの削減効果はありますが、リスクを完全に排除することはできません。

 

ベータ

ポートフォリオのボラティリティ(変動)は、市場全体の動きに対する感度によって測定されます。この感度をベータ係数(β)として示します。

 

ベータは、個別の株がポートフォリオへのリスクにどのように影響しているかを把握する尺度です。市場全体と同じリスクであればベータは1.0となります。これは、市場全体ポートフォリオのリターンと完全に正の相関があると言えます。例えば、市場全体ポートフォリオのリターンが20%増加する時、その株もしくはポートフォリオのリターンが20%増加します。

 

ベータが1.0未満の場合は、個別の株もしくはポートフォリが市場全体ポートフォリオへの連動性が低いといえます。例えば、市場全体ポートフォリオのリターンが20%増加する時、その株もしくはポートフォリオのリターンが10%増加したとします。この時、ベータは0.5になります。

 

ベータが1.0より大きい場合、個別の株もしくはポートフォリオが市場全体ポートフォリオへの連動性が大きいもしくは市場全体ポートフォリオ以上に変動するといえます。例えば、市場全体ポートフォリオのリターンが15%増加する時、その株もしくはポートフォリオのリターンが30%増加したとします。この時、ベータは2.0となります。

 

ベータ係数は、個別の証券リターン(従属変数)と市場全体のリターン(独立変数)の回帰直線の傾きともいえます。また、ポートフォリオのベータは、個々の有価証券のベータの加重平均です。

 

キャピタル・アセット・プライシング・モデル(CAPM)

投資家はリスクを減らし、分散の効いた有価証券ポートフォリオを構築したいと考えています。特定の証券が分散ポートフォリオのリスク・リターンにどのように寄与しているかを測定するために、投資家は資本資産価格モデル(以下、CAPM)を使用します。

 

CAPMとは、リスクの水準を市場で入手可能な平均収益率(ポートフォリオ)に関連付けることにより、株式保有に必要な収益を定量化します。CAPMの公式は、時間価値とリスクの2つの考え方に基づいています。

 

時間価値は、リスクフリーレート(式中のRFで示される)である。国債などの最も安全な投資によってもたらされる収益です。

 

リスクとしては、

 

  • 市場リスクプレミアム(式中のRM − RFで示される)は、市場から得られるリスクフリーレートを超えるリターンである。
  • ベータ(β)と呼ばれる市場全体の動きに関する感応度です。

 

尚、CAPMは8つの仮定が置かれています。

 

  • 取引コストは税金はかからない
  • 証券は完全に分解できる(1円単位で株を購入できる)
  • 個々の投資家の取引が価格に影響を与えない
  • 投資家はリスク回避的であり、期待リターンと分散のパラメータで効用を最大化するようにポートフォリオを選択する
  • 無リスク利子率での貸し借りが制約なくできる
  • 空売りが制約なくできる
  • 投資家は証券の期待リターン、分散、共分散について同じ期待をもっている
  • すべての資産が市場で取引できる

CAPM

要求収益率 = RF + β(RM − RF

 

RF = リスクフリーレートのリターン
RM = 市場リターン(マーケットリターン)
β = 市場全体ポートフォリオ(≒分散ポートフォリオ)と比較した、個別の株の市場リスクとの感応度

 

 

CAPMの使用には実務上の注意点が2つあります。

 

  • 異なる経済環境でのリスクフリーレート(国債)の収益率を見積もることは難しいです。要するに、経済環境が異なる場合では、リスクフリーレートの収益率に工夫が必要です。
  • CAPMは単一期間モデルであり、1年以上続く投資には使用できません。1年以上続く投資では再評価を毎年することもあります。

 

まとめ

ポートフォリオ・マネジメントにはさまざまな考え方がありますが、効率的ポートフォリオと資本資産価格モデルは基本となります。

 

また、ポートフォリオ・マネジメントは奥が深く個別に専門書がいくつも出版されていますし、機関投資家の中にはポートフォリオ・マネジメントだけでひとつの部署が存在します。