オプション取引とスワップ取引とは?基本的な仕組みと損益計算をやさしく説明

プット・コール・パリティ

プット・コール・パリティとは、ヨーロピアン・オプション(すなわち、特定日に行使する権利を有するもの)を用いた投資戦略の組み合わせを関係式です(プットとコールが同一行使価格、同一限月に限ります)。

コール・オプションの価値 + 行使価格の現在価値( *) = プット・オプションの価値 + 原資産の価値
(*)リスクフリーレートで割引

方程式の左辺を見ると、コール・オプションの買い手は、原資産の市場価格が十分に上昇しない場合には、コール・オプションを購入したことによって損失を被ります。この時、コール・オプションの買い手が行使価格の現在価値で安全資産(例えば、国債等)へ投資することによって損失をヘッジできます。

これは、コール・オプションの権利行使日に原資産価格が下落して、アウト・オブ・ザ・マネーになった場合、その損失分を安全資産で補えるからです。安全資産はコール・オプションと価格が逆に動く資産へ投資します。

次に、方程式の右辺を見ると、プット・オプションの買い手は、原資産の市場価格が十分に下落しない場合には、プット・オプションを購入したことによって損失を被ります。この時、原資産を同時に購入することで、損失をヘッジできます。

これは、プット・オプションの権利行使日に原資産の価格が上昇して、アウト・オブ・ザ・マネーになった場合、その損失分を原資産の価格上昇で補えるからです。

よって、この式は、パリティ(等価)となります。

また、行使価格の現在価値の収益をもたらす投資戦略として式を変形することができます。

行使価格の現在価値 = プット・オプションの価値 + 原資産の価値 − コール・オプションの価値

この式は、プット・オプションを購入し、原資産を購入し、コール・オプションを売る という組み合わせによって、行使価格の現在価値に投資するのと同じリターンが得られること理論的に示しています。これらの関係を知ることは、投資家が適切なオプション戦略を考案するのに役立ちます。

オプションの評価

オプションを評価する最も有名なモデルは、ブラック・ショールズ・モデル(Black-Scholes model)と2項モデルです。これらのモデルは非常に難解な数式で理論的に構築されています。

このサイトでは難解すぎるので守備範囲外としますが、名前だけでも覚えておくと良いと思います。これらのモデルを詳しく知りたい人はググったり関連書籍(山ほどあります)をお調べ下さい。

行使価格

一般的に、コール・オプションの買い手は、原資産(市場価格)より低い行使価格から利益を得ることができます。プット・オプションの買い手は、原資産(市場価格)より高い行使価格から利益を得ることができます。

したがって、原資産に対してオプションの行使価格の上昇は、コール・オプションの価値の低下およびプット・オプションの価値の上昇となります。

原資産の価格

原資産の価格が上昇すると、コール・オプションの価値も上昇します。プット・オプションの価値は、原資産の価格上昇においては、市場価格よりも低い価格で売却するメリットはないため、原資産の価格が上昇するにつれて減少します。

金利

コール・オプションの買い手は、原資産の信用(クレジット)を購入することに似ています。一般的に、金利上昇時は景気が上向いています。よって、オプションが金利上昇期に行使された場合、行使価格を高め、コール・オプションの買い手は利益のでている状態といえます。

よって、金利上昇は、コール・オプションの価値の上昇、プット・オプションの価値の低下をもたらします。

権利行使日までの時間

オプションの期間(コールとプットの両方)が長いと、オプション価値は上昇します。

原資産の価格ボラティリティ

原資産の価格は当然変動(ボラティリティ)します。したがって、オプション取引をする買い手、売り手にとっても潜在的な下落損失があります。

したがって、オプション取引の当事者は、ボラティリティを重要視します。原資産の価格のボラティリティの増加は、オプション(コールとプットの両方)の価値の上昇をもたらします。

これらの要因とその影響は、以下のようにまとめられます。

下記の事項が上昇(長期)すると コール・オプションの価値 プット・オプションの価値
オプションの行使価格 減少 増加
原資産価格 増加 減少
金利 増加 減少
権利行使日までの時間 増加 増加
原資産の価格ボラティリティ 増加 増加

 

スワップ

スワップとは、キャッシュフローを交換する契約です。主に3つの手法があります。

金利スワップ

金利スワップとは、金利構造の違う2つの利払いを交換する契約です。

例えば、債務返済を固定金利で支払っている企業が、市場金利に基づく変動金利に支払いを変更したいと考えたとします。この時、第三者の取引相手(例えば、銀行)と『変動金利の支払いと固定金利の受取り』の契約を結ぶことで、第三者からの固定金利の受取を債務返済に充てることができ、変動金利を第三者の取引相手に支払うことになります。

実際には金利スワップ契約は高度なカスタイズがされており、取引相手の同意によって契約されます。

通貨スワップ

通貨スワップは、ある通貨建てのキャッシュ・フローを別の通貨建てのキャッシュ・フローと交換する契約です。

例えば、円の収入がある米国の輸出企業は、サプライヤーや従業員に円ではなく米ドルでの支払いが必要になります。ここで、為替リスクを最小限もしくは回避するためには、円を必要とする企業が保有する米ドルと交換することがお互いにとってメリットがあります。このようにお互いに必要な通貨が異なる場合に、交換する契約を結ぶのが通貨スワップです。

実際には、為替だけではなくその通貨の金利水準によっても契約内容が変わってきます。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは、特定の企業の債務不履行について第三者が補償する契約です。

例えば、A銀行は、債務者がB銀行から借入金を完済するまでB銀行からの一定の保険料を受け取ることで借入金の補償をする契約をB銀行と結びます。この場合、債務者がデフォルトするとA銀行はB銀行へ債務者の借入金を補償します。

また、債務者が借入金を無事にB銀行へ完済すればA銀行はB銀行からの保険料を収益として認識できます。これは、債務者のクレジットリスク(デフォルトリスク)を交換(スワップ)していると言えます。

クレジット・デフォルト・スワップは金利スワップとは異なり、大きなポートフォリオ単位で契約が行われます。また、保険料は対象となる債務者のクレジットリスクによって変わってきます。

スワップについては、契約開始時に交換されるキャッシュフローの価値は同じになります。厳密に言うと、契約時に等価交換になるような契約を結ぶことになります。当然ながら、契約後の金利、為替、信用リスクが変化すると、スワップの価値が変化します。

オプションは投機的な形で使用されることも多々あります。同時に、デリバティブを組み合わせることでヘッジにも利用されます。

まとめ

少し、高度な内容まで説明しましたが、金融商品としてのデリバティブとオプションをここまで理解すれば十分です。