資産運用は人工知能(AI)の活用によりお任せで稼げるのか?

資産運用業界でも人工知能の発達を活用をしている企業がありますね。

代表的な例が、ロボアドバイザーであり、人工知能を生かして資産運用を請け負ってくれる謳い文句となっています。

では、本当に人工知能の活用によりお任せで、合理的で効率的に稼げるのでしょうか?


人工知能(AI)とは何者なのか?

まずは、人工知能とはどのような定義になっているのかを知らないといけませんね。人工知能は全知全能の代物なのでしょうか?

人工知能学会のHPを調べると下記のように記載があります。

「人工知能」とは何だと思うでしょうか?まるで人間のようにふるまう機械を想像するのではないでしょうか?これは正しいとも,間違っているともいえます.なぜなら,人工知能の研究には二つの立場があるからです.一つは,人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとする立場,もう一つは,人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする立場です.そして,実際の研究のほとんどは後者の立場にたっています.ですので,人工知能の研究といっても,人間のような機械を作っているわけではありません.

これを読むと、現在の人工知能の意味するところは、『人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする』であることがわかりますね。全知全能ではなく、人間の知能レベルに近づける研究が盛んというわけです。

また、ここでいう知能とは、学習能力とみる定義で、知識や技能を経験によって獲得することを可能にする能力だと思われます。

さて、人工知能の研究成果が、資産運用にどこまで応用されているかというと、結局は過去データを数値解析して最適ポートフォリオを提案する所までですね。

わかりやすい例だと、人工知能を利用した車の自動運転が近いかと思います。

車の自動運転は、一度でも走行した道であれば、走行データを蓄積することにより同じ道を走行したときには、人がハンドルを握らなくても、自動で最適な走行を実現してくれるわけです。

これは、経験による技能を獲得して、同じ環境では最適化して再現してくれるということにほかなりません。ただ、未知の道では最適化した再現はできないということになることも重要なので覚えておきましょう。

現在の人工知能とは、経験から得た知識や技能を、同じ環境であれば人間と同様かそれ以上の精度で最適化して再現できるに過ぎないということでしょう。

人工知能(AI)が行う資産運用とは?

実際に人工知能を使った資産運用(通称:ロボアドバイザー)を提供している代表的な会社を調べると、ウェルスナビTHEO楽ラップがあります。提供しているサービスの主要な部分をまとめると以下になります。詳細は各HPをご覧ください。

  • 投資家のプロフィール(リスク許容度)からの最適ポートフォリオの提案
  • 最適ポートフォリオを低コストのETFや投資信託などで分散投資で構築してリバランス
  • 人工知能を利用したロボアドバイザーの運用コストは、1%前後

ただし、ロボアドバイザーを提供している会社によって、ETFや投資信託に制限がありますので、ご注意ください。

基本的には、過去の膨大なデータから現代ポートフォリオ理論で構築した効率的ポートフォリオの提供となると思われますね。経済シナリオを加味した将来ポートフォリオ構築の提供や行動な金融モデルを開発しているとは到底思えません。なんたって、良くも悪くも1%の手数料ですからね。

『ロボアドバイザー = 投資家のリスク許容量に応じた最適ポートフォリオを提案』と考えるべきでしょう。

人工知能(AI)よりもシンプルに稼げる方法がある

直近のロボアドバイザーの運用実績を調べてみました。ここでは、ロボアドバイザーのなかでも人気の高いウェルスナビを参考にしてみましょう。

ウェルスナビは、預かり資産が3,000万円までは、年率1%(税別)、3,000万円を超える部分は、年率0.5%(税別)の手数料がかかります。

2016年1月から直近(2018年10月)までの毎月3万円の積み立てた時の運用実績は、リスク許容度5でリターンが+15.7%(ドル建て)となっております。銀行預金の利率がほぼゼロなことを考えると、手数料控除後でのリターンとしては全然悪い数字ではないですね。

ウェルスナビの運用方針は、世界への分散投資を基本としているので、非常に合理的だといえるでしょう。

ただし、ここで一つの疑問が生まれます。世界への分散投資はもっとシンプルにできないのかということです。

理屈の上では、ウェルスナビが提案するポートフォリオを投資家が自分で構築することは可能となりますが、現実には、一定の規模の運用資金(1,000万円以上程度)がないと、運用資金に対する手数料が1%に収まらないことになります。

100万円程度の運用資金だとの1万円で個別にETFを購入してポートフォリ構築をすることになりますが、たぶん無理でしょうし、超えてしまうと、自分でやる意味がまったくありませんね。

では、やはりウェルスナビが合理的で効率的な資産運用手段になるという結論になるかというと、そういうわけではありません。実は同じような世界への分散投資が1つのETFで可能が存在することをご存知でしょうか?

それが、『iシェアーズ MSCI ACWI ETF』です。このETFは、新興国を含めた全世界の株式市場を時価評価した指数に連動するETFです。完全なる世界への分散投資です。信託報酬も年率0.34%と低めです。

因みに、ETFのリターンはウェルスナビのような毎月の積立方式での運用実績はありませんが、年次の運用実績は下記となります。

2014年 2015年 2016年 2017年
市場価格(%)外貨ベース 3.82 -2.22 8.40 24.35
市場価格(%)円貨ベース 18.42 -1.89 5.10 20.10

市場価格の外貨ベースとウェルスナビを単純比較はできないのですが、僕はネット証券を通じてACWIを月次で購入する方がリターンは高いのではないかと思います。

ただ、留意点がいくつかあります。

  • 2016年から2017年は世界的にマーケット環境が良好であり、ロボアドバイザーでもACWIでも買増していけば、高いプラスリターンを享受できた
  • ロボアドバイザーは運用期間が短く、マーケット環境が悪くなった時での運用実績比較のデータがない。
  • ACWIは標準偏差(リターンのブレ幅≒リスク量)が公表されているが、ロボアドバイザーのリスク許容度の定量値がないので、リターンだけで比較できない(これが一番の問題)

まとめ

人工知能の活用により、資産運用へのもたらすメリットは少なくないのは事実です。たぶん、もっと進化していけば、機関投資家などで単純トレードしかしない人は淘汰されるでしょうね。

ただ、現状の人工知能は活用したロボアドバイザーのような仕組みは、過去データからの効率的ポートフォリオの構築とそれに合わせた世界への分散投資とリバランスです。

結局、世界への分散投資が効率的ポートフォリオになることを過去データから定量的に理由付けしたに過ぎません。

ゆえに、そのポートフォリオ構築の手数料として1%の手数料は払うのが合理的なのか?それともすでに世界への分散投資され、10年以上運用されているETFを購入する方が合理的なのか?

もちろん、ETFの購入は自動ではできませんので、投資家が月末など定期的に自分で購入する必要がありますが、その手間を考えても・・・。

1%の手数料(運用コスト)を高いと考えるか安いと考えるかは人それぞれですが、金融マーケットの参加者は1bp(0.01%)でもリターンを上げたいと死に物狂いで努力しているのも、また事実です。

資産運用は人工知能(AI)の活用により効率的なポートフォリオの構築ができるようになったが、手数料(ロボアドバイザーのような仕組み)との費用対効果では、投資家が自分でETFを購入するシンプル投資の方が、合理的で効率的に稼げるのではないでしょうか。