住宅の『購入』と『賃貸』の損得をファイナンス思考で考えてみると?

住宅を購入するか賃貸にするかは、全ての人が1度は考える問題だと思います。

特に、日本人はマイホームを持つことが素晴らしいことだと理由もなく信仰されています。住宅の購入を決めた場合、一般サラリーマン家庭であれば人生で1度の大きな買い物になることが多いでしょう。

住宅は購入と賃貸を比較して、損得があるのかをファイナンス思考で考えたいと思います。


住宅を購入するとは?

住宅を購入した多く人は、

家賃を払い続けるのはムダだから、同じ金額を住宅ローンに充てて住宅を手に入れたほうが、最終的には住宅(不動産)が自分の資産になるのだから断然お得だよ。

と住宅販売員のような意見をお持ちです。

仮に、5,500万円の住宅を購入して、現在(2017年9月)の金利水準である1.1%で25年ローンを組むと、

住宅価格:5,500万円 金利支払い:600万円弱

となり、税控除などを考えていませんが、5,500万円の住宅を購入するのに、6,100万円支払うことになります。

25年の返済期間だと、月の支払いはだいたい20万円強となります。返済期間を伸ばす(フラット35などを利用)ことで、月の支払いを下げることは可能ですが、金利負担は増えることになります。

また、新築の住宅を購入することは大きな新築プレミアムがあります。

これは、5,500万円の新築物件を頭金500万円で購入してすぐに売却しようとすると、中古物件扱いとなり有無も言わさず10%程度の割引となります。

5,500万円の住宅の契約をした瞬間に、住宅の価格は4,950万円になるのです。頭金をいきなり失うだけでなく、-550万円の損失となるのです。

住宅を購入するとはこのようなリスクを負うことです。これは身も蓋もない事実です。

住宅の購入は不動産投資と同じ?

住宅を購入することは、紛れもない不動産投資です。

このようなことを言うと、

住宅の購入は自分や家族が住むためであり、投資ではない。

と返答がきます。

2011年の東日本大震災で大きな経済的ダメージを受けたのは、持ち家を津波で失った人たちでした。自宅が物理的に消滅しても住宅ローンは免責されず、新たに住宅を立てることで2重ローンになってしまいました。

また、自然災害以外にもバブル崩壊やリーマンショックにより長期の不況に陥ったことは記憶に新しいです。当時は、不況によりリストラなどで住宅ローンが払えなくなったサラリーマンが大量に続出しました。

このような場合、住宅ローンを組んだ銀行は、あなたの住宅をすぐに売却してローン返済に充てます。しかし、不況時は住宅価格は大暴落しており売却金だけでは住宅ローンが返済できずに残ってしまいます。

仮に、5,500万円の住宅を500万円の頭金で購入しても、住宅が2,000万円でしか売却できなければ、3,000万円の借金が住宅を失っても残るのです。

これは、住宅の購入がハイリスク・ハイリターンのレバレッジをかけた不動産投資だからです。

レバレッジとは、実際に所有している金額以上の投資をすることです。

例えば、レバレッジ2倍とは、100万円の株式が120万円になった時、レバレッジをかけないと20万円の利益ですが、レバレッジ2倍だと40万円の利益になります。もちろん、損失も同じだけ負うことになります。

よって、5,500万円の住宅を頭金500万円で購入することはレバレッジ11倍になります。普通の資産運用ならば非常にハイリスクな投資対象といえるでしょう。

現物不動産でなくてもREITの活用で不動産投資ができる

ここでREITという金融商品の説明をします。

REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)とは、不動産から得られる賃料を証券化したものです。

都内のオフィスビルから年間1億円の賃料が得られるとするとして、賃料から不動産購入の借入金、REITの運営費用等を控除した後の利益を1万人の投資家で分け合えば1人1万円の配当となります。

仮に配当利回りを4%程度とすると、1万円が配当されるREITの価格は、1万円 ÷ 4% = 25万円となります。

よって、REITを活用した資産運用をすれば、現物の不動産を保有しなくても不動産投資を行うことができるのです。もっといえば、全国どこに住んでいても都内の優良不動産のREITへ投資することが可能です。

例えば、地方都市に住む男性が2人居ます(イチロウさんとジロウさん)。2人の自宅は共に時価2,000万円です。

近所に6.5万円で賃貸マンションが建ちました。そこで、イチロウさんは自宅を売却して、2,000万円でREITを購入しました。この時点では、イチロウさんとジロウさんの資産はREITと自宅の違いはあっても2,000万円で同じです。

イチロウさんは、REITの年間配当利回り4%(80万円)で賃貸料を払えるようになりました。

やがて、イチロウさんとジロウさんの住む地方都市は人口の過疎化が進み経済状況は悪化していき、地価も急激に下落しました。

今では、ジロウさんの自宅は買い手が全く使いない状況になっています。しかし、ジロウさんは自宅から動くこともできず経済状況の悪化から給料も下がり苦しい状況に追い込まれることになりました。

イチロウさんは、東証REIT指数が2012年から2017年で1.6倍にもなり、2,000万円のREIT投資が3,200万円になりました。この資金を元手に地方都市を引っ越しすることも可能です。

この話は、机上の空論ではなく実際に起こっていることです。地方都市の住人が地方都市に不動産投資するのではなく、REITを活用して大都市の地価高騰の恩恵を受けることができるのです。

まとめ

住宅の購入は、一般サラリーマンがレバレッジ(住宅ローンを組む)をかけた不動産投資をしていることです。

住宅の購入は経済が右肩上がりで住宅価格が上昇すればレバレッジ効果で利益を得ることができます。

日本が迎える将来を考えると、住宅の購入メリットは少ないと言わざる得ないですし、これは住宅に限らず個人でモノを保有することの価値は低くなっていきます。

技術の進化を享受するにはやはり保有するよりもその時その時に便利なものを活用する、ファイナンス思考が必要だと思います。