デリバティブ取引とは?基本的な仕組みと損益計算をやさしく説明

デリバティブを簡単に言うと、株式価格、為替レート、金利、またはコモディティの価格変動によって利益や損失が発生する投資です。

一般的に、デリバティブは相対取引(1対1の取引)となります。例えば、一方はデリバティブ取引によって投機的(リスクテイク)なポジションを取り、他方はリスク回避を目的に取引をします。

デリバティブは、債券、優先株式、普通株式などと同じように金融商品の一種です。しかし、デリバティブは、有価証券のような資産とは会計的な処理が異なります。


ヘッジ

ヘッジとは、ある資産の価格変動への影響を最小化または回避するための手段です。

例えば、将来、ある資産を売却して利益を得たいと考えた場合、資産価値の上昇から利益を得るためにはその資産を保有(≒ロング・ポジション)する必要があります。

この場合、その資産価値の低下による損失を防ぐために、資産の保有者はヘッジをすることができます。すなわち、資産価値が低下すると逆に価値が上昇する金融商品を購入するのです。

例えば、大豆農家は、大豆が市場に出回る頃に大豆の価格が上昇することを望みます。よって、大豆農家は大豆という資産を保有(≒ロング・ポジション)しているといえます。このような時、大豆農家は大豆の価格下落を回避するためヘッジすることができます。

他の例では、将来、ある資産を購入ししたいと考えている人は、その資産価値が下落すること望んいるかも知れません(≒ショート・ポジション)。

この場合、その資産価値の上昇による購入額の高騰を防ぐために、資産のヘッジをすることができます。すなわち、資産価値が上昇すると価値が上昇する金融商品を購入するのです。

例えば、農業卸売業者は、大豆農家が大豆を卸売業者の倉庫に持ち込むまでに大豆の価格が下がると購入価格を抑えることができます。このような時、卸売業者は、天候不良で大豆不足から価格の高騰を回避するためにヘッジすることができます(≒ショート・ポジション)。

オプション

オプションとは最も一般的なデリバティブです。

オプションの買い手は、オプションの売り手に対して将来の特定日またはその特定日までにオプション内容について行使する権利を有します。

実際のオプションの行使をするか否かは、買い手に委ねられています。買い手がオプション行使をした場合、オプションの売り手はオプション内容を必ず実行しなければいけません。

また、オプションには失効日があり、失効日以降はオプション行使の権利はなくりなります。尚、オプションには大きくヨーロピアン・オプションとアメリカン・オプションがあります。

  • ある特定日にのみ行使できるオプションをヨーロピアン・オプションと呼びます。
  • ある特定日までにいつでも行使できるオプションをアメリカン・オプションと呼びます。

行使すると時の価格(行使価格)とは、オプション取引の契約において対象となる資産を購入または売却することができる価格です。

オプションを購入する時の価格は、オプション価格またはオプション・プレミアムと呼ばれ、買い手がオプション取得のために売り手に支払う金額です。

オプションは対象資産(原資産)によって分類することができます。

  1. ストック・オプションは、原資産が実際に取引される株式オプションです。
  2. インデックス・オプションは、原資産がマーケット・インデックスになるオプションです。権利行使された場合、原資産が引き渡しできないため、現金による決済が行われます。
  3. LEAPS(Long-term Equity Anticipation Securities)と呼ばれる長期株式を原資産とするオプションです。最長で3年にもなります。
  4. 外貨オプションは、オプション買い手が契約時に指定した為替レートで外貨に交換できる権利です。

 

コール・オプション

コール・オプションは、買い手が原資産(株式、通貨、商品など)を購入する権利(つまり、固定価格で購入(コール)する権利)を有するオプションです。

  • 原資産の価格(市場価格)が行使価格を上回った場合、オプションは「イン・ザ・マネー」と呼ばれます。オプションの買い手は、オプション行使して、原資産を購入することができます。その後に、原資産 価格より安く手に入れた資産を売却して利益を出したりします。
  • 原資産の価格(市場価格)が行使価格を下回っている場合、オプションは「アウト・オブ・ザ・マネー」と呼ばれます。オプションの買い手は、市場価格よりも高い行使価格で原資産を購入するメリットはないので、行使しません。
  • 原資産の価格(市場価格)と行使価格が等しい場合、オプションは「アット・ザ・マネー」と呼ばれます。

したがって、コール・オプションは、原資産の価格上昇に対して利益を得ることになります。

コール・オプションの売り手は、原資産がオプション行使価格よりも低い価格でオプション行使日まで続くと考えています。また、コール・オプションの売り手を、「ショート・ポジション」と呼んだりします。

また、コール・オプションの買い手の利益(損失)は必ず売り手の損失(利益)と対になります。コール・オプションの損益額は、次のように計算できます。

  • 買い手(ロング・ポジション):
    原資産ユニット × (オプション行使した時の市場価格と行使価格の差額  − オプション価格 )
  • 売り手(ショート・ポジション):
    原資産ユニット × (オプション価格 − オプション行使した時の市場価格と行使価格の差額)

イン・ザ・マネー・コール・オプションの例:
T社はS社との間で、きょうから30日後にP社の株を1株あたり100ドルで100株買えるコール・オプションを購入しました。S社はこのコール・オプションを1株あたり3ドルで売りました。30日後のP社の株価は、市場で1株あたり105ドルで取引されています。T社はオプション行使することをS社に伝えました。この時のT社とS社のコール・オプション行使による損益は以下のように計算できます。

買い手(T社)の利益(損失):
100株のオプション × {(105ドル − 100ドル) − 3ドル} = 200ドルの利益
売り手(S社)の利益(損失):
100株のオプション × {3ドル − (105ドル − 100ドル)} = −200ドルの損失

アウト・オブ・ザ・マネーコール・オプションの例:
T社はS社との間で、きょうから30日後にP社の株を1株あたり100ドルで100株買えるコール・オプションを購入しました。S社はこのコール・オプションを1株あたり3ドルで売りました。30日後のP社の株価は、市場で1株あたり97ドルで取引されています。T社はオプション行使をしませんでした(市場で97ドルで購入できるので100ドルで購入するオプションを行使をするメリットはないです)。この時のT社とS社の損益は以下のように計算できます。

買い手(T社)の利益(損失):
100株のオプション × (0ドル − 3ドル) = −300ドルの損失
売り手(S社)の利益(損失):
100株のオプション × (3ドル − 0ドル) = 300ドルの利益

コール・オプションの買い手と売り手の関係は有名な図で示すことができます。オプションの損益分岐点は非常に重要です。

プット・オプション

プット・オプションは、買い手が、原資産(株式、通貨、商品など)を固定価格で売却する権利(つまり、固定価格で売却(プット)する権利)を有するオプションです。

  • 原資産の価格(市場価格)が行使価格を下回っている場合、オプションは「イン・ザ・マネー」と呼ばれます。オプションの買い手は、オプション行使して、売り手に対して市場価格よりも高い価格で売却することができます。
  • 原資産の価格(市場価格)が行使価格を上回っている場合、オプションは「アウト・オブ・ザ・マネー」と呼ばれます。オプションの買い手は、市場価格よりも低い行使価格で原資産を売却するメリットはないので、行使しません。
  • 原資産の価格(市場価格)と行使価格が等しい場合、オプションは「アット・ザ・マネー」と呼ばれます。

したがって、プット・オプションは、原資産の価格下落に対して利益を得ることになります。

プット・オプションの売り手は、原資産がオプション行使価格よりも高い価格でオプション行使日まで続くと考えています。また、プット・オプションの売り手を、「ロング・ポジション」と呼んだりします。

また、プット・オプションの買い手の利益(損失)は必ず売り手の損失(利益)と対になります。プット・オプションの損益額は、次のように計算できます。

  • 買い手(ショート・ポジション):
    原資産ユニット × (オプション行使した時の行使価格と市場価格の差額  − オプション価格 )
  • 売り手(ロング・ポジション):
    原資産ユニット × (オプション価格 − オプション行使した時の行使価格と市場価格の差額)

イン・ザ・マネー・コール・オプションの例:
T社はS社との間で、きょうから30日後にP社の株を1株あたり100ドルで100株売れるプット・オプションを購入しました。S社はこのプット・オプションを1株あたり3ドルで売りました。30日後のP社の株価は、市場で1株あたり92ドルで取引されています。T社はオプション行使することをS社に伝えました。この時のT社とS社のプット・オプション行使による損益は以下のように計算できます。

買い手(T社)の利益(損失):
100株のオプション × {(100ドル − 92ドル) − 3ドル} = 500ドルの利益
売り手(S社)の利益(損失):
100株のオプション × {3ドル − (100ドル − 92ドル)} = −500ドルの損失

アウト・オブ・ザ・マネーコール・オプションの例:
T社はS社との間で、きょうから30日後にP社の株を1株あたり100ドルで100株売れるプット・オプションを購入しました。S社はこのプット・オプションを1株あたり3ドルで売りました。30日後のP社の株価は、市場で1株あたり104ドルで取引されています。T社はオプション行使をしませんでした(市場で104ドルで売却できるので100ドルで売却するオプションを行使をするメリットはないです)。この時のT社とS社の損益は以下のように計算できます。

買い手(T社)の利益(損失):
100株のオプション × (0ドル − 3ドル) = −300ドルの損失
売り手(S社)の利益(損失):
100株のオプション × (3ドル − 0ドル) = 300ドルの利益

プット・オプションの買い手と売り手の関係は有名な図で示すことができます。オプションの損益分岐点は非常に重要です。

まとめ

デリバティブ取引の基本的な仕組みを説明しました。一般的な投資家としてはコールとプットを理解していれば十分です。