百分率財務諸表(Common-size Financial Statements)とは、読んで字のごとく財務諸表を百分率表記にして分析することです。

同業他社間の企業財務諸表を分析する際に利用する手法です。百分率にする際に、財務諸表上のどの勘定科目を分母にするのか、百分率にすることで何が見えるのかを理解しておきましょう。

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百分率と比較可能性(Percentages and Comparability)

企業活動の成果である財務諸表の数字は毎年増減します。順調に成長している企業、同業他社で規模の異なる企業の財務諸表分析をする場合、ただ並べて見るだけでは何もわかりません。

そのため、損益計算書(P/L)では売上高貸借対照表(B/S)では総資産と基準額を決め、各勘定科目を百分率に再表示します。よって、百分率表記では損益計算書(P/L)の売上高、貸借対照表(B/S)の総資産の表示は100%になります。

では、実際に損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)を使って百分率表記にして確認しましょう。

損益計算書(P/L)
  外部利害関係者用(百万円) 百分率(%)
今年度 昨年度 今年度 昨年度
売上高 1,800 1,400 100.0 100.0
売上原価 (1,650) (1,330) (91.7) (95.0)
売上総利益 150 70 8.3 5.0
販売費 (50) (15) (2.8) (1.1)
一般管理費 (15) (10) (0.8) (0.7)
営業利益 85 45 4.7 3.2
営業外収益 20 0 1.1 0.0
営業外費用 (35) (10) (1.9) (0.7)
税引前利益 70 35 3.9 2.5
法人税(40%) (28) (14) (1.6) (1.0)
当期純利益 42 21 2.3 1.5

 

貸借対照表(B/S)
外部利害関係者用(百万円) 百分率(%)
資産 今年度 昨年度 今年度 昨年度
流動資産 760 635 42.2 39.7
固定資産  1,040 965 57.8 60.3
総資産 1,800 1,600 100.0 100.0
負債
流動負債 390 275 21.7 17.2
固定負債 610 675 33.9 42.2
総負債 1,000 950 55.6 59.4
純資産 800 650 44.4 40.6
 負債 + 純資産 1,800 1,600 100.0 100.0

百分率損益計算書(P/L)と百分率貸借対照表(B/S)を作成することで、同業他社、業界平均、同業他社同士の比較等、さまざまな財務諸表の差異を効率的かつ効果的に簡単に分析できます。

例えば、売上高が20億円のA企業と売上高が440億円のB企業を比較することは、売上高を分母にして百分率にしない限り客観的な指標での評価にはならないでしょう。

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垂直分析と水平分析(Vertical and Horizontal Analysis)

垂直分析とは、上記の百分率財務諸表が代表的な例です。売上高や総資産を基準額に各勘定科目を垂直(縦)に百分率表記します。

水平分析とは、何年かの期間の財務諸表の勘定科目について基準年度を決め、基準年度の金額で百分率表記します水平分析は、期間の傾向を把握することもできます。

尚、基準年度との比較になるため、基準年度の勘定科目は100%となります。

では、実際に損益計算書(P/L)の一部を使って水平分析を確認しましょう。今回は一昨年度を基準年度とします。

損益計算書(P/L) 外部利害関係者用(百万円)
当年度 昨年度 一昨年度
売上高 1,800 1,400 1,500
売上原価 (1,650) (1,330) (1,390)
売上総利益 150 70 110

 

損益計算書(P/L) 百分率(%)
当年度 昨年度 一昨年度
売上高 120.0 93.3 100.0
売上原価 118.7 95.7 100.0
売上総利益 136.4 63.6 100.0

今回の水平分析では、売上高と売上原価は基準年度である一昨年度から昨年度にかけ微減に留まったにもかかわらず、売上総利益は百分率では急落した。 また、昨年度から今年度では売上高と売上原価の回復に対して、売上総利益の増加は大き伸びとなった。

水平分析でも基準年度を決めない方法もあります。この方法は、直近年度と常に比較することで主要な勘定科目の増加比率(または減少比率)を把握するために行います。

例えば、ある企業の売上高が100億円から120億円に増加した場合、増加率は20%になります。この常に直近と百分率で比較することは普段から行っていると思いますが、水平分析の一種となります。

まとめ

百分率財務諸表の中で、垂直分析、水平分析について紹介しました。みなさんも無意識に行っいる分析手法かも知れません。

異なる財務数字を比較する際は、百分率で再表示すると効率的に判断ができます。貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)以外の財務諸表も、目的に応じて活用できるので、手を使ってどんどん行うと慣れてきます。

尚、プロの投資家(機関投資家など)も、まずは財務諸表を百分率表記してから財務分析をスタートします。

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