資産運用でメインシナリオとリスクシナリオは区別する【当たり前】

資産運用は不確かな未来や将来に投資をしていますが、その『不確かさ』を悪い方ばかりに考える人がいます。

 

価格の下振れリスクを気にしすぎる人(ネガティブ思考)、上振れリスクだけを期待する人(ポジティブ思考)などがありますが、『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』を客観的に整理すれば無駄な心配は不要です。

 


本記事の内容

  • 『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』は区別
  • 『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』を数値化
  • 『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』はどちらも重要
  • 『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』も不確かなのは事実

 

資産運用歴は15年以上で、10年超は機関投資家としてリスク・リターンを取りながら収益を上げてきました。

 

サブプライム・ローン、リーマン・ショック、東日本大震災、ブレグジットショック等々をプロ投資家として経験しました。

 

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』は区別

結論は、”未来や将来は誰にもわからないから考えすぎるのは無駄”です。

 

資産運用を実行するときに、メインシナリオになる確度が高いから投資をするわけで、リスクシナリオの確度が高い投資をするわけありません。

 

とはいえ、一寸先は闇であり、下落リスクの怖さが常にあるのも事実です。

 

僕は、資産運用に限らずリスクを必要以上に恐れたり、すべてをヘッジ(回避)するの思考は愚かだと思っています。

 

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』のどちらの確度が高いか

例えば、現在30歳の人(男性 or 女性)が60歳までの人生を考えたとき、

 

  • 60歳までに死ぬ
  • 60歳まで生きる

のどちらがメインシナリオでリスクシナリオでしょうか?

 

健全な30歳ならば、『60歳まで生きる』がメインシナリオで、『60歳までに死ぬ』がリスクシナリオになると考えるのが妥当でしょう。

 

ちなみに、厚生労働省の統計調査では平成29年の30歳の平均余命は、男性:51.73年 女性:57.70年です。平均的に男女ともに80歳までは生きるみたいですね。

 

なので、基本的には60歳まで生きる前提で将来設計をするのが普通の思考です。60歳までに死ぬこと前提に将来設計はしません。

 

ただ、たまに保険業界関係者で人生における死亡リスクに限らず、リスクを過剰演出することで利益を稼ごうとしている人がいるのも事実です。

 

生命保険は、『万が一のときに経済的な保障』をしてくれるリスクヘッジ手段です。よって、リスクシナリオが実現したとき(確率が高い低いに限らず)に、経済的な補填が必要な範囲で契約するのです。

 

資産運用も同じで、メインシナリオ(想定のリスクと期待リターン)の確度が高いと考えられるうちは、リスクシナリオ(想定を外れたリスクと期待リターン)を必要以上に恐れる必要はないでしょう。

 

メインシナリオとリスクシナリオは区別しておきましょう。

 

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』を数値化

そもそも論として、『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』を数値で可視化しておくと、不要な不安を低減できます。

 

期待リターン5%、リスク10%でシミュレーション

かんたんなモンテカルロ・シミュレーションをします。モンテカルロ・シミュレーションとは、乱数を発生させて恣意性を除いたリスク中立的なシミュレーションです。

 

初期投資額:100万円、期待リターン5%、リスク10%で10年間運用したときの投資額(100万円)の推移(年単位)を50シナリオ計算します。シナリオは対数正規分布に従う前提です。

 

尚、リスク(10%)とは期待リターン(5%)が上下にブレる幅を意味します。詳細はここでは割愛しますが、『リスク・リターンの定量分析は投資判断に必要か?不要か?』をご参考にしていただくか、書籍やインターネットでお調べください。

 

さっそく、結果を見ましょう。

 

 

多くのシナリオでプラスリターンとなり、元本割れするシナリオは3本となりました。シミュレーション上ですが、3/50 = 6%ですね。

 

仮に、リスクシナリオを元本割れと定義するなら、3本のシナリオ(6%)となります。また、大多数のシナリオは100万円〜200万円の間に収まります。メインシナリオは、150万円近辺になると考えて良さそうです。

 

リスクがあるのに資産運用を続ける理由

ここで少しコーヒーブレイクです。

 

なぜ、リスクがゼロじゃないのに資産運用をするのかというと、単純に効率的だからです。

 

人的資本は自身の身体を使いますが、資産運用はお金が働いてくれます。もちろん、定期的なモニタリングは必要ですが、世界に投資すれば理論的には24時間、365日ずっと経済活動をしています。

 

効率的にお金を増やす手段としては悪くないと思っています。

 

というわけで、資産運用で成功(成功の定義は投資家毎に違う)したいなら、確度の高いメインシナリオに投資を続けるんです。

 

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』はどちらも重要

メインシナリオの確度が高いから投資していると書きましたが、当然、リスクシナリオを無視していいわけではないです。

 

取捨選択の議論は不毛で、どちらも重要な情報です。

 

リスクを負うからリターンを得られる【リスク・リターンの原則】

資産運用の大原則ですが、リスクを負うので、その見返りにリターンを得るのです。

 

「そんなの当たり前」だとの声が聞こえそうですが、世の中に投資詐欺や怪しい投資手法がなくならないのは、この大原則である『リスク・リターン』を忘れてしまうからです。

 

真っ当な金融商品であればあるほど、リスクとリターンの関係は明確です。

 

銀行にお金を預ける『預金』でも、リスク・リターンがあります。リスク:銀行の倒産、リターン:銀行の倒産リスクを負う見返り。

 

ただし、ペイオフという制度により1金融機関1預金者あたり、1,000万円までと、その利息等が保護されるのリターンは低くなります。

 

よって、リスクの高い商品が一概に悪いとは言えません。見返りのリターンが妥当な水準であれば、リスク・リターンとして成り立ちます。

 

当然、メインシナリオとリスクシナリオの区別も明確にして、厳格にモニタリングする必要があるので、個人投資家が安易に手を出すのは避けるべきでしょう。

 

期待利回りを複利だけで表現するのはリスクゼロの世界(幻想です)

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』とは少しずれますが、モンテカルロ・シミュレーションの結果から有益な情報をもうひとつ。

 

未来や将来は不確かですので、どうしてもリスクがつきまといます。

 

ですが、世に出回る情報の中には、

 

「資産運用は複利利回りで資産が増えるので、〇〇という金融商品の利回りは5%だから、投資すれば5%の複利利回りを享受できる」

 

という内容です。言い回しは、他にもあると思いますが、要するに過去の実績利回りをそのまま複利利回りで計算する方法です。

 

このような発信をする人は、

 

  • 過去は未来の完全な鏡で、未来でも実現する
  • 期待利回りは過去の実績で、かつ、リスクはゼロになる

 

と思考している可能性が高いのですが、資産運用ではありえません。

 

たとえば、さきほどのモンテカルロ・シミュレーションは期待利回りを5%と想定しましたが、期待利回りが5%で10年間の複利利回りをしたら、

 

100万円 × (1+5%)10 = 約163万円

 

になりますが、これこそ机上の空論です。期待利回りが5%でリスクがゼロの金融商品が仮に存在したら、世の中には出回りません(いわゆる詐欺商品です)。

 

何度も言いますが、高いリターンを得たいなら、高いリスクを負う必要があります。

 

厳密に言えば、過去の実績利回りはリスクを得た後の結果的な利回りです(もちろん、複利効果はあります)。よって、期待利回りは複利効果を得ますが、同時にリスクもある(さまざまなシナリオが考えられる)というのが事実です。

 

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』も不確かなのは事実

ここまで、『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』について書いてきましたが、正直、モンテカルロ・シミュレーションで数値と可視化しても、あくまでも特定の前提における結果です。

 

当たり前だけど未来や将来は誰にもわかりません【断言】

どれだけ、精緻な分析やシナリオを考えても未来や将来は誰にもわかりません。AIの技術が進歩してもそれは変わらないでしょう。

 

だからこそ、自分の頭で思考して判断する力は永久に不滅な能力だと思います。

 

『メインシナリオ』と『リスクシナリオ』を区別しつつ、両輪にして資産運用を楽しみましょう。