「投資や資産運用において資産配分で運用成果の8割以上が決まる」こんなことがよく言われますし、あながち間違いではないと思います。

 

とはいえ実際には、

  • 「資産配分がなぜ大事なの?」
  • 「資産配分の正しい考え方はあるのか?」

という人も多いと思います。

 

そこで、資産配分の悩みを、機関投資家(数兆円のポートフォリオをマネジメント)の経験からひとつの提案ができればなと。

 

具体的には、

  • 資産配分が重要な理由
  • 資産配分を考えるポイント
  • 資産配分と効率的フロンティア

の順番にご紹介していきます。

 

資産配分の悩みが改善される可能性が高いので、まずはご一読を!

 

尚、本文内では統一した表現を心がけますが、アセット・アロケーションと書いてある場合でも資産配分と同義となります。一般的な言い回しで使い分けています。

 

資産配分とは「資産運用の基盤」

資産配分とは、それは「資産運用の基盤」になります。

 

より具体的に言えば、

 

日本株、外国株(先進国、新興国)、日本債券、外国債券(先進国、新興国)、REIT(不動産投資信託)、コモディティ(原油、金などの商品)などの資産(金融商品)に投資をしてポートフォリオを構築することです。

 

世の中にはたくさんの金融商品があり、組み合わせ(ポートフォリオを構築する)によりリスク・リターンが決まります。

 

よって、資産配分はただ組み合わせるだけではなく、資産運用の基盤を決める行為なのでとってもとっても重要なんです。

 

理由を説明していきますね。

 

資産配分が重要な3つの理由

資産配分が重要だと言えるのには大きく3つの理由があります。

 

それは

  1. リスク・リターンが決まるから
  2. リスク許容度を捉えやすくなるから
  3. リバランスとリアロケーションの意識が芽生えるから

どういうことか、以下詳しくご説明しますね。

 

リスク・リターンが決まるから

ポートフォリオ構築をすると、

  • マーケット変動にさらされるリスク
  • マーケットから得られる期待リターン

を確認するのが資産配分になります。

 

株式の保有比率が高ければハイリスク・ハイリターンとなりますし、債券の保有比率が高ければローリスク・ローリターンになる傾向があります。

 

高い期待リターンの資産だけで資産配分すれば、計算上は高利回りのポートフォリオ構築となりますが、リスクとリターンは表裏一体なので、同時に大きなリスクを抱え込んでいるのです。

 

期待リターンを複利利回りでシミュレーションするブログや経済誌を見かけますが、期待リターンが乖離するリスク(標準偏差)を併記していることは少ないのは危険だと感じますね。

 

当たり前ですが、投資家は引き受けるリスクと期待リターンが経済合理性や効率性の視点で考える必要あります。

 

リスク・リターンに見合わない状態を放置してはいけませんので、リバランスやリアロケーションをしましょう

 

リスク許容度を捉えやすくなるから

投資家にとってリスク・リターンと同じくらい(もしくは、それ以上)に重要なのが、リスク許容度です。

 

リスク許容度については、『リスク許容度とは何か?リスク許容度の計算と決め方はどうする?』という記事を書いたので、あやふやな方はご参考までに。

 

リスク許容度を簡単に説明すると、

収益(リターン)がマイナスに振れてしまった場合、どれくらいまでならマイナスになっても受け入れることができるか、という度合いのことを「リスク許容度」

となります。

 

資産配分によりリスク・リターンが決まったとしても、投資家のリスク許容度に収まっていなければ実行できないポートフォリオ構築です。

 

実際の資産配分では、リスク・リターンとリスク許容度のバランスを試行錯誤しながら、ポートフォリオ構築することになります。

 

リバランスとリアロケーションの意識が芽生えるから

リスク・リターンとリスク許容度に収まれば終わりとならないのが資産運用の難しさであり楽しさでもあります。

 

資産運用は長期に渡る付き合いが基本です。よって、時の経過で保有資産のリスク・リターンもリスク許容度もマーケットや投資家の状況で変化します。

 

最低でも年に1度はポートフォリオの状態を確認して、リバランスやリアロケーションを検討するのがよいです。

 

資産配分は十人十色ですが、最初に想定した期待リターンやリスクが20〜30年の長期運用で全く変わらないことはないでしょう。

 

リスク・リターン ⇒ リスク許容度 ⇒ リバランスまたはリアロケーション』を繰り返します。

 

資産配分を考える3つのポイント

資産配分(アセット・アロケーション)を考えるポイントは大きく3つ、

 

  1. ストラテジック・アセット・アロケーション(SAA)
  2. ポリシー・アセット・アロケーション(PAA)
  3. タクティカル・アセット・アロケーション(TAA)

 

です。他にも投資家ごとに考えるポイントはあるかもしれませんが、この3つのどれかに含まれると思います。

 

尚、『〇〇・アセット・アロケーション』の概念を知るのが重要で、言葉を覚える必要はまったくありません。

 

ストラテジック・アセット・アロケーション(SAA)

戦略的資産配分とも呼ばれ、過去データや中長期的な予測値などから、リスクと期待リターンのアセット・アロケーションを決める手法です(基本的に制約条件はなし)。

 

大きな変動がなければアセット・アロケーション(SAA)が決まれば、各資産の配分比率に基づいて淡々と運用していきます。

 

各資産の価格変化によってアセット・アロケーションの比率が変化し、当初の比率から大きく乖離した場合にはリバランスにより、アセット・アロケーションに戻すのが原則となります。

 

ポリシー・アセット・アロケーション(PAA)

政策的資産配分とも呼ばれ、SAAと同様に過去データや中長期的な予測値などから、リスクと期待リターンのアセット・アロケーションを決める手法なのですが、制約条件をつけるのがポイントです。

 

たとえば、株式:50%、債券:40%、REIT:10%を制約条件とし、アセット・アロケーションを決めたりするのが当てはまります。

 

尚、政策的なので定量・定性分析などの視点に拘らないで、

  • 保険加入しているので債券は株式よりも比率以下
  • 実物不動産を保有しているからREITの比率は10%以下

との根拠もありえます。

 

タクティカル・アセット・アロケーション(TAA)

戦術的資産配分とも呼ばれ、SAAやPAAよりも超過収益を狙うためのアセット・アロケーションを決める手法です。

 

たとえば、定量・定性的な分析から国内債券の利回りは足許でゼロに近いので、短期的には資産配分の候補から外してアロケーションするなどです。

 

戦術的の名の通り、状況に応じて機動的に、価格上昇の期待ができる資産や割安だとみられる資産の配分を上げて、価格下落の恐れがある資産や割高だとみられる資産の配分を減らすなどを行います。

 

イメージとしては、アクティブ運用に近いですね。

 

効率的フロンティアと資産配分のシミュレーション

SAA、PAA、TAAの概念を知った上で、効率的フロンティアを軸に実際に計算してみます。

 

【効率的フロンティアの計算前提(2019年7月末)】

  • 国内株式:TOPIX トピックス (配当込み)
  • 国内債券:NOMURA-BPI 総合
  • 国内リート:東証REIT指数 (配当込み)
  • 先進国株式(日本除く):MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円)
  • 先進国債券(日本除く):FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)
  • 先進国リート(日本除く):S&P先進国REITインデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)
  • 期待リターン、標準偏差は15年間の過去データ(my INDEX
  • 相関係数は上記インデックスに連動するファンド(インデックスから直接取得するのが好ましいが、簡易シミュレーションを前提)

 

ストラテジック・アセット・アロケーション(SAA)を計算すると…..

制約条件がないときの資産配分として、SAAの効率的フロンティアを計算すると、

 

ポリシー・アセット・アロケーション(PAA)を計算すると…..

上記でも例示した制約条件として、株式:50%、債券:40%、REIT:10%の資産配分で、PAAの効率的フロンティアを計算すると、

 

タクティカル・アセット・アロケーション(TAA)を計算すると…..

上記でも例示した制約条件として、国内債券の利回りは足許でゼロに近いので、国内債券の配分をゼロとして、TAAの効率的フロンティアを計算すると、

 

資産配分の比率の決め方(ひとつの考え方)

過去データを正とした前提に立てば、制約条件がないSAAのフロンティア上の資産配分を選択するのが最適と考えられます。

 

ただし、現実的にはSAAのフロンティアから資産配分を選択できる投資家は多くないはずです。なぜなら、制約条件のまったくない投資家が少ないからです。

 

よって、SAA ⇒ PAA ⇒ TAA(TAAはアクティブ運用を考える投資家でなければ不要)の順番で効率的フロンティアを描いて過程で最適な資産配分を探索する方法です。

 

ここでポイントになるのが、SAAのフロンティアを確認しておくことです。制約条件を付すしたフロンティアとリスク・リターンの比較が可能だからです。

 

資産配分に絶対的な正解はありませんが、資産配分が運用成果に及ぼす影響は大です。効率的フロンティアはひとつの手法であり、全てを解決してくれるわけではないです。

 

資産配分において少しでも参考になれば幸いです。

 

注意)シミュレーションを含めた計算結果は将来のリスク・リターンを保証するものではありませんし、計算ロジックの正確性も担保していませんのでご留意ください。尚、投資や資産運用の最終判断は自己責任でお願いいたしますします。