個人投資家の資産配分は世界の株式市場への投資が基本だと考えています。

 

世界の株式市場に連動する投資信託やETFに投資をすれば、日本で暮らし、日本でビジネスをしている人でも世界の株式市場のリスク・リターンを得ることができます。

 

一方で、世界の株式市場は米国経済が牽引しているのだから、米国株式市場のS&P500に連動するファンド(投資信託やETF)に投資すれば同じ効果を得られるという意見もあります。

 

では、世界の株式市場と米国株式市場のどちらに投資するべきなのでしょうか?

 

僕は、

二者択一ではなく世界の株式市場を基本として、米国の株式市場は別に投資する

が効率的な資産配分になると考えています。

 

世界の株式市場に連動するVTファンド

世界の株式市場の代表的なインデックスは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(世界47カ国の7,400以上の株式をカバーし、世界の投資可能時価総額98%を占める)です。

 

全世界の株式市場時価総額になるので、このインデックスに連動するファンドを保有していればまさに世界の株式市場に投資していることになります。

 

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動しているETFが『バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(以下、VT)』です。(為替ヘッジなしの円建て投資信託もあります。)

 

VTですが、『資産配分』と『地域配分』を確認すると米国株式市場への比率が高いことがわかります。

 

出典:モーニングスター社

 

米国経済が世界の株式市場を牽引していると言われるだけはありますね。50%超が米国株式市場への投資となっています。

 

ただし、米国株式市場への比率が高いのが戦略的に資産配分しているわけではないことに注意しなければいけません。

 

何が言いたいかというと、『今は世界の株式市場の時価総額で米国株式市場が圧倒的に大きいから結果的に比率が高い状態にある』ということです。

 

もちろん、将来において世界の株式市場の時価総額が変化すれば比率も連動します。言い換えれば、米国以外の株式市場の時価総額が大きくなれば構成比率も変わります。

 

米国株式市場に連動するVOOファンド

米国株式市場の代表的なインデックスは、S&P 500指数(工業株400種、運輸株20種、公共株40種、金融株40種の各指数で構成されていて、採用銘柄は約40業種に及んでいます。ニューヨーク市場の時価総額の約75%をカバー)です。

 

ニューヨーク市場の時価総額の約75%をカバーしているので、このインデックスに連動しているファンドを保有していれば米国株式市場に投資していることになります。

 

S&P 500指数に連動しているETFが『バンガード・S&P 500 ETF(以下、VOO)』です。(為替ヘッジなしの円建て投資信託もあります。)

 

VOOですが、『資産配分』と『地域配分』を確認すると、当然ですが米国株式市場への比率がほぼ100%です。

 

出典:モーニングスター社

 

実は、VTとVOOの価格推移は非常に似ています。上がVTで下がVOOの価格推移です。ほぼ同じ形状で推移していることがわかります。

 

出典:モーニングスター社

 

VTファンドは40%強の米国以外の株式市場(新興国など)へ投資されているはずなのになぜでしょうか?

 

米国企業は世界でビジネスをしており、会社の拠点だけが米国にあるからだと推測できます。

 

ビジネスのボーダレス化でグローバルな取引が当たり前の世界においては、米国株式市場と言えども米国以外のさまざまな国の経済の影響を少なからず受けているということです。

 

リスク・リターンを定量分析

VTとVOOのリスク・リターンを定量分析も見ておきましょう(リスク・リターンの定量分析は投資判断に必要か?不要か?)。

 

過去データ(3年、5年、10年)のトータル・リターンと標準偏差から、(対数)正規分布に従うシンプルなリスク・リターンの定量分析です(2019年6月30日基準)。

 

分析内容はまとめるので、数字はざっとみてもらえればいいのですが、ここ数年は米国株式市場が強かったことがわかりますね。米国以外の株式市場がVTのリターンにネガティブな効果を与えていると言えます。

 

  • 投資期間に関わらず、VTよりもVOOのほうがリスク・リターンは効率的だった
  • 投資期間に関わらず、VTもVOOも平均値、中央値、最頻値がマイナスリターンにならない
  • ショートフォール確率(1年後の元本割れリスク)は、VTのほうが高い
    (トータル・リターンが100%未満の面積)
  • VaR(95%の確率で今後1年間における期待最大損失額)は、VTの方が大きい

 

ショートフォール確率とVaRは、VTとVOOに今から投資した場合であり、3年、5年、10年経過後の1年ではないです。

 

リスク・リターンの定量分析で判断するなら、VTよりもVOOのほうに投資するほうが合理的になりますね。

 

投資シミュレーション

VT(μ:10.4%、σ:13.7%)とVOO(μ:14.7%、σ:12.7%)の過去10年データのトータル・リターン(μ)と標準偏差(σ)から、将来10年の価格推移を乱数シミュレーションしてみます。

 

シミュレーション結果を見る前に個人的見解を述べておきます。

 

正直、期待リターンが10%超なのは、過去10年におけるリーマンショックからの戻りを大きく享受しているためであり、シミュレーション結果の使い方を気をつけないとミスリードになります。

 

長期シミュレーションならば、期待リターンは半分の5%〜7%で考えたほうが合理的かなと思いますが、あえて定性的な判断はしないで実績値をそのまま適用します。

 

ただ、VTとVOOの比較に限れば同じようにリーマンショック後の上げ影響を受けていますし、あくまでもシミュレーションです。

 

前置きが長くなりましたが、結果としては、『VTよりもVOOのほうが投資には合理的といえる。』となります。

 

  • シナリオは対数正規分布に従う50本
  • 初期投資を100として、将来10年までの1年毎のシミュレーション
  • 毎年100の積立投資ではありません

 

 

米国株式市場への投資は戦略的な資産配分

リスク・リターンの定量分析と投資シミュレーションからすると、世界の株式市場よりも米国株式市場に投資するのが合理的になりますね。

 

ただ、投資や資産運用は定量分析だけで判断するのは危険です。定量分析の結果を前提に定性的な判断も踏まえて、以下のように考えます。

 

  • VTの代わりにVOOとするのは、米国への集中リスクとなる
  • 米国以外(特に新興国)の経済成長のリターン(もしかするとリスク)を全く取り込まない判断はしたくない
  • 今は、VTの50%超が米国だとしても、米国以外の経済成長が著しく発展すれば米国への比率が自動でリバランスされる
  • 新興国には政治リスクを含め米国では考えられないような潜在リスクがあるのも事実

 

この先ずっと米国経済が世界を牽引していけるのかにも確信がもてない部分があります(ここがかなり自分のなかで大きいです)。

 

そう考えると、世界の株式市場のリスク・リターンをパッシブ運用の名のとおりに受動的に構えるのを基本スタイルとするのがベターではないかと思う。足許では米国株式市場は力強いのは間違いないのでネガティブには捉えていないです。

 

結論としては、

 

米国株式市場のリスク・リターンが今後も効率的だと考えるのであれば、戦略的にVTとは別にVOOに投資して、ポートフォリオ内の米国へのウェイト上げるとよいのではない

 

と考えています。

 

僕のポートフォリオも米国株式市場に連動するファンドを別に保有してポートフォリオ内の比率をコントロールしています。

 

尚、VTとVOOで話を進めていますが、ETF投資を推奨しているわけではなくVTとVOOに連動する投資信託と読み替えてもらって構いません。

 

注意)シミュレーションを含めた計算結果は将来のリスク・リターンを保証するものではありませんし、計算ロジックの正確性も担保していませんのでご留意ください。尚、投資や資産運用の最終判断は自己責任でお願いいたしますします。