自分が著名な専門家と同じ見解だと気づいたら疑う必要がある理由

資産運用の格言に、『人の行く裏に道あり花の山』があります。この格言は群集心理とは逆にいくほうが成功する場合が多いことを説いています。

歴史的にマーケットで大きく成功した人はこの格言のとおりの行動をしています。

生命保険会社や年金運用会社は、長期の資産運用を強いられることになりますが、それは保険や年金の商品特性が長期に渡るものだからです。結果、バランスシートの負債側には長期の金利リスクが大きく存在することになるので、金利リスクを考慮した資産運用をすることになります。

そうなると、常に長期金利の動きでパフォーマンスが変わってくることになります。

長期金利が低下するのであれば、負債側にあるキャッシュ・フローよりも長い国債などの資産で運用すれば高リターンを得ることになります。

長期金利が上昇するのであれば、負債側にあるキャッシュ・フローよりも短い国債などの資産で運用すれば高リターンを得ることになります。

忘れもしませんが、10年国債が1.5%を切る水準になった頃、投資の専門家といわれる人たちは異口同音に、「長期金利は低すぎる、ここから大きく上昇する」というレポートを言葉や言い回しを変えて山ほど送ってきました。

そして、10年国債が1.0%を切る水準になった頃には、「このマーケット状況で長期債券の買いは控えるべき」というレポートを山ほど送ってきました。

世の中の経済誌でも名前が売れている経済アナリストは、「マーケットは金利上昇バイアスが強い段階に入っている」という意味のわからないコメントを連発していたと記憶しています。

では、結果はどうなったでしょうか?

2016年2月にはマイナス金利が導入され、その後10年国債は長い間、ゼロ近辺で推移することになります。

これはあくまでも結果論ですが、現在から過去を振り返ると日本の長期金利は30年以上の間、低下の一途をたどっています。

どんなに優秀な投資家でも確実な未来などわかるわけがありません。それは著名な専門家でも同様です。外的な金融政策によって恣意的に変化することもあります。

ちなみに、当時の僕は長期金利が上昇するか低下するかは相当に不透明だと考えていましたし、負債側の金利リスクが大きくなっていたので、円金利リスクはニュートラルポジションを提案しました。

しかし、資産運用部門としては金利上昇のシナリオを決定しました。当然ですが、期間パフォーマンスは大きなマイナスリターンとなり、担当役員と部長が荷物をまとめることになりました。

現在、都市部の不動産価格は上昇しています。最近は多少落ち着きましたが、それでも上昇した価格で高止まりしている状況です。著名な専門家は都市部の不動産はまだ上がり続けるだろうという人もたくさんいます。

不動産投資をする人は、ここからロングポジション(買い持ち)なのかショートポジション(売り持ち)なのかは難しいところかも知れません。

「著名な専門家の見解と同じ=間違い」というわけではなく、著名な専門家ほどポジショントークをせざる得ない状況かもしれないということを認識する必要があるということです。

本当にバイアスのない状態での見解なのか、もう一度、自分を疑って確認することが大切だということです。意外と反対の道にお金が落ちているかも知れません。