資産配分手法はリスク量、キャッシュ・フロー、リターンとあるけれど

資産運用では、資産配分(アセットアロケーション)を決めることは、運用成果を左右する重要なステップになります。

一般的に、資産配分方法には3つの手法があります(もっと細かい手法もあります)。

  • リスク量ベースでの資産配分

リスク量ベースでの資産配分は、資産のリスク量を計測して自己資本(個人投資家であれば現金や預金などの流動性が高い資産)を超過しない(食いつぶさない)範囲で資産運用となります。

理論的には、リスク量ベースの資産配分は最良の手法となりますが、問題点もあります。それはリスク量の計測方法が一義的に決まっていないので、リスク計測モデル、変数、過去データの参照範囲等々によって結果がひとつにならないことです。

リスク量とは期待リターンの乖離幅を意味するので、シンプルに計測する方法もありますが、これだと相関さえも考慮していない前提になってしまいます。

  • キャッシュ・フローベースでの資産配分

キャッシュ・フローベースでの資産配分は、資産と負債を考慮した資産運用となります。機関投資家といわれる金融機関ではALM運用(Asset Liability Management)ともいわれます。

金融機関などから借り入れた資金(負債)の将来キャッシュ・フローに基づいて、資産配分により資産側のキャッシュ・フローを構築する手法です。

負債側のキャッシュ・フローベースで資産配分をするので、将来の資金ショートリスクは低減することができます。

日本の超低金利下で、銀行から借金(ローン)をして投資用不動産(又は自宅購入)を勧める人はこの理屈を前提に話していることになります。

要するに、金利が安く長いローンが組めれば、毎期の負債側キャッシュ・フローは少額になりますので、資産側のキャッシュ・フローが超過する投資や資産運用ができればその差(スプレッド)が収益になるというわけです。

ただし、このキャッシュ・フローベースの資産配分には問題点もあります。それは、将来キャッシュ・フローを確定できないことです。特に、個人投資は予期せぬ支出が発生することがあります。

子どもの教育費から始まり、両親の介護費用、転職による収入の変動、転勤による自宅の売却などなど。

キャッシュ・フローがベースの資産配分も手法としては悪くないのですが、実務上では相当の工夫が必要となります。

  • リターンベースでの資産配分

リターンベースでの資産配分は、資産の期待リターンだけを目標に資産運用となります。これはリスクを無視した手法となり、避けなければいけないのですが個人投資家はこの手法を好んで使う傾向があります。

その理由は、金融機関の窓口で相談、ビジネス誌などの資産運用特集などで、「今売れている金融商品」を参考にするからです。

金融機関側のモチベーションは手数料の高い金融商品を購入してもらうことなので、期待リターンが高めに設定されていて仕組みが複雑な金融商品ほど勧めてくることになります。この行動は金融機関側に立てば合理的な行動でしょう。

結果、金融機関に相談する個人投資家はそのまま購入することになり、ビジネス誌でも売れている金融商品にランキングされることになるのです。

挙げ句、期待リターンが達成されれば報われるのですが散々な運用成果になっているのはご存知のとおりです。

 

資産配分は資産運用の重要なステップなのですが、黄金に光る絶対的な手法はないのです。では、どうすれば良いのかというと、どの手法を選ぶにしてもメリット・デメリットを理解しておくことです。

別の言い方をすれば、その手法のリスク・リターンは何であるかを知っておくことです。そのことが理解されていれば、状況に応じて資産配分を柔軟に変えることもできるでしょう。

何事も理解していないと何が原因なのかを分析するまでに時間が掛かり必要以上の損失を被ることがあります。