経営意思決定はどのようなプロセスでコスト計算するべきなのか?

企業が将来においてとるべき行動を決定することを経営意思決定(Managerial Decision Making)といい、一般に次のプロセスによって行われます。

  1. 問題の明確化
    • まず、いま直面している問題を明確に定義します。
  2. 代替案の探索
    • 次に、その問題に対していかなる行動をとるか、できるだけ多くの代替案を列強します。
  3. 代替案の評価と選択
    • 各代替案につき、様々な上昇を収集・評価して、いずれの案を採るかを決定します。
      • 数量的要因(金額で評価できる要因):各代替案がもたらす利益
      • 非数量的要因(金額で評価できない要因):従業員の士気、環境への影響など
  4. 実行
    • 選んだ案を実行に移します。

このように経営意思決定は、代替的な行動案の中から最も望ましいものを選択することであると捉えることができます。

意思決定のためのコストでは、意思決定において考慮すべきコストだけを計算の対象とします。これを関連コスト(Relevant costs)といい、次の要件を満たすコストが該当します。

  1. 将来コスト(Future costs)であること
    • 代替案のコストを計算するのは、将来の活動に関する意思決定をするためです。よって、計算されるのは、各代替案を採用したときに発生すると予測される将来コストだけとなります。これに対して、すでに発生してしまった過去コストは、意思決定において考慮する必要がないので、計算の対象とはしません。
  2. 差額コスト(Differential costs)であること
    • 代替案のコストを計算するのは、いくつかの案のうち、いずれを選択するかを決定するためです。したがって、計算されるのは、代替案ごとに発生額の異なる増加コスト(Incremental costs)だけです。これに対して、いずれの案をとっても同じだけ発生するコストは、意思決定に影響を与えないので、計算の対象とはしません。

たとえば、A社のBという車とC社のDという車のいずれを買うか、迷っているとします。このとき、BとDの購入価額や燃費(ガソリン代)などが関連コストになります。これらの金額は、これから発生する将来コストですし、Bを選ぶか、Dを選ぶかで発生額が異なる差額コストだからです。

これに対して、先の要件を満たさないコストを埋没コスト(Sunk costs)といい、意思決定において考慮する必要はありません。過去コスト(現在、保有している車の購入価額)や、将来コストであっても代替案によって発生額の異ならないコスト(駐車場の賃貸料)は、いずれも埋没コストになります。

なお、先の要件を満たす限り、支出コストだけでなく、機会コストも関連コストになります。

  • 支出コスト
    • 犠牲にされた資源の価値を、その取得に要した現金支出額で測定したコスト。
  • 機会コスト
    • 犠牲にされた資源の価値を、他の代替的な用途に用いたならば得られたはずの利益額(逸失利益額)で測定したコスト。