ROI、RIよりもEVA(経済的付加価値)の視点が大切になる

ROI(Return on investment:投資利益率)の考え方はかなり古くから存在していますが、企業内の事業を業績評価する際に初めて利用したのは、デュポン社です。

 

1920年、GM(General Motors)社が深刻な在庫危機に陥ると、株主であったデュポン一族はその救済に乗り出し、ROIによる目標設定とその目標を実現するためのシステムを設計して、大きな成果をあげます。

 

しかし、ROIがもつ欠点も次第に認識されるようになり、ROIの欠点を嫌ったGE(General Electric)社は、1954年、事業部の業績評価にRI(Residual income:残余利益)を導入します。

 

RIは、多くの経営学者やファイナンスの領域で支持を受け、ROIよりもRIの方が望ましいと考えられてきましたが、実務ではROIほどには普及しませんでした。

 

ところが、1980年代後半、複数のコンサルティング会社の調査によって、ROIと株価の相関関係よりも、RIと株価の相関関係の方が相当高い相関関係にあることが明らかにされます。さらに、コンサルティング会社(Stern Stewart社)がEVA(Economic Value Added:経済的付加価値)を提唱すると、世界的な注目を集め、多くの企業に導入されるようになります。

 

EVAは、RIの概念を理論的に精緻化したモデルの1つであり、次式によって計算されます。

 

EVA=税引後営業利益−加重平均資本コスト×投資額

 

  • 税引後営業利益
    • 損益計算書の営業利益から税金を控除して、税引後営業利益を計算する。尚、EVAではさらに、以下のような調整を加えることで経済的付加価値に近づける
      • 研究開発費、広告宣伝費、教育訓練費を資本化する
      • 棚卸資産評価にFIFO(先入先出法)を使う。
      • 計上されていない営業権と営業権償却累計額を資本に加え、営業償却を税引後営業利益に戻す。

 

 

  • 投資額
    • 投資額は事業活動に投資されたキャッシュの総額になる。例えば、長期負債+株主資本とするなど。

 

EVAには、さまざまな利点があります。

  • 資本コストを控除した利益となり、株主のための利益をあらわす。
  • 企業価値(将来キャッシュフローの割引現在価値)に近似するという理論的な基礎がある。
  • キャッシュフローに近い。
  • 会計データを基礎とすることができるため、データが入手しやすい。
  • RIと同様、投資プロジェクトなどの意思決定が事業部の望ましい意思決定と一致させることができる。