個人投資家は機関投資家を超える利回りの資産運用はできるのか?

個人投資家が機関投資家を超える利回りの資産運用はできるのか?の議論は数多あります。僕の持論は、投資や資産運用のプロである機関投資家が圧倒的に優位とは言えないと思います。

個人投資家が有利となる資産運用が可能な根拠を3つほど考えてみました。


制約の柔軟性

機関投資家は、顧客から預かった資金を運用するので、かっちりとした制約で縛られています。これは、時に自らの手足を縛り付けることがあります。

僕自身も機関投資家として、顧客の利益となる運用と自社の制約(自主規制)による板挟み状態になったことがあります。

自社の制約は、顧客の利益になる方向に変更することは可能ですが、それに要する期間が1ヶ月以上になることもあります。会社組織という制度上どうしようもない部分ではありますが、これでは金融マーケットの変動に対応できません。

当然ながら、考えられるあらゆる状況を踏まえて制約を整えていますが、金融マーケットでは想定外は往々にして発生するのです。

ただし、個人投資家であれば、顧客と資産運用の主体が同一なので制約を柔軟に変更することができます。もちろん、制約をなんでもかんでも変更することは一貫した資産運用の崩壊をまねきますので、慎重な対応が必要になります。

要は、機関投資家に比べて個人投資家は制約の変更を柔軟にできることによって、目標に対して適宜適切な行動ができ、金融マーケットの歪みを享受できる可能性は高いです。

判断の機敏性

機関投資家は、週次や月次での会議体で資産運用の方向性や判断を行うために、一般的にいわれていることですが、判断の機敏性は劣ります。これは、会社組織なので仕方がないことですが、大勢集まる会議になればなるほど判断は遅延するのが常です。

個人投資家は、自分の頭で考えて判断して行動できることで、優位性が高いです。判断の機敏性に関しては機関投資家は個人投資家を超えることは相当難しいと言わざる得ません。

結果的に、金融マーケットを後追いすることになり機関投資家がリスク管理面で損失を計上するのはこういったことも原因にあります。

外資系投資銀行の自己勘定部門(顧客の資金ではなく、銀行の資本を運用する部門)では、運用の裁量権をトレーダーに広く委ねられてるといわれますが、実際は本国からの指示や社内のポジションがあり、自己判断の許容範囲は狭いのが実情です。

外資系投資銀行の黒歴史として、トレーダーが犯罪に発展する事件を起こしており、今後は制度上の規制が厳しくなるでしょう。

パフォーマンス評価の期間

機関投資家は、定期的にパフォーマンス評価を受けることになります。企業会計に準じる必要があることからも仕方ないことです。これは、長期的な視点で資産運用している機関投資家であっても必ず定期的に評価されます。

ここが非常に矛盾というかやりきれない所なのですが、長期的な視点で安定的に資産運用をすることを標榜しておきながら短期的なパフォーマンスも気にするのです。

結果的に、短期運用と長期運用と企業会計の評価に気を使いながら資産運用をする実情があります。日本会計であれば、3月末、6月末、9月末、12月末に金融マーケットが歪な動きをすることがあるのはこういったことが原因です。

しかし、個人投資家は、会計的なパフォーマンスは全く関係ありません。定期的なパフォーマンス評価のために資産運用をする必要性はありません。目線はあくまでも自身が設定する期間だからです。

ここで、機関投資家と個人投資家のマーケット情報格差についてコメントします。

機関投資家の中には投資対象先にヒアリングに行って情報を得るファンド・マネージャーもいますが、多くは証券会社等の仲介業者が情報源になります。

僕自身も機関投資家として働いていた時は、証券会社の情報は参考にしましたが、証券会社のセールス(情報提供者)はタヌキやキツネが多いことも事実です。

これは、彼らは債券や株式を機関投資家に売ることで手数料という資金を得ることになりますので、グレーな情報でトレードを促したいインセンティブが働くのは仕方ないことです。現実は非常に微妙な関係を築いています。

むしろ、日常生活の中で個人投資家が感じたことや自分の経験からくる感覚の方が資産運用には良い効果があったりしますので、情報格差が資産運用に与える影響は小さいです。特に長期投資に対してほぼないといっても過言ではありません。

個人投資家 vs 機関投資家

個人投資家が資産運用において優位と思われる点を考えましたが、実際は賛否両論だと思います。

やはり機関投資家はその道のプロ集団であり、蓄積された知識と技術があるのは事実です。僕も先輩方から受け継いだわけですから。

ただし、資産運用経験が長い個人投資家であれば独自の資産運用ノウハウがあり、機関投資家と対等に金融マーケットで活躍しています。僕も今はではその部類に入ります。

個人投資家も機関投資家を超える利回りの資産運用をすることはできると信じたいと思います。