株式の基本 – 株式評価とは? 手法は? 計算方法は? –

株式の基本 – 株式評価とは? 手法は? 計算方法は? –について、株式投資家として知るべき株式評価の基本的な部分についてです。

株式投資をする初歩の内容として読んでもらえたらと思います。


株式評価とは

優先株式

優先株式は債券に近い有価証券なので、評価は配当率が基準になります。

配当率が市場の一般的な配当率よりも低い場合、優先株式は額面よりも低い価格で売買されます。逆に、市場の一般的な配当率よりも高い場合(同様のリスク水準に基づく)は、優先株式を額面よりも高く売買できる可能性があります。

優先株式は債券よりもわずかにリスクが高いですが、株式投資家にとっては他に特段の利点がほとんどありません。そのため、優先株式は債券を評価する割引率よりも少し高くなります。

例えば、債券が8%の金利に基づいた価格で売買される場合、同様の優先株式は、リスクが若干高いため10%の金利に基づいた価格で売買される可能性があります。

普通株式

普通株式も優先株式同様に評価することができますが、配当率ではなく1株あたり利益に基づいておこないます。また、普通株式の場合、将来の期待リターンとなるため、一般的にリスクプレミアムの与える影響が大きくなります。

例えば、債券が8%の金利、優先株式が10%の金利で評価される場合、普通株式は20%の期待収益率で評価することになるかもしれません。一般的に普通株式への投資家は将来の期待リターンに高いリスクプレミアムを考慮した評価をします。

よって、普通株式 > 優先株式 > 債券とリスクの大きさによって評価する金利や期待リターンは高くなるということです。

定率(一定)成長配当割引モデル

定率成長配当割引モデル(配当成長モデルとも呼ばれる)は、1株あたりの予想配当金を使用して現在価値に戻すことによって、株式価値を計算する方法です。数式は次のとおりです。

理論株価 = 1株あたりの予想配当額/(割引率 − 成長率)

上記の式は、配当が一定の割合で増加すると予想される場合に使用されます。この式を使用して得られた株価が現在の市場価値より大きい場合、その株式は過小評価されていると見なされます(理論株価が市場価値以上であることを意味します)。

例えば、ある企業が直近の配当日に10ドルの年間配当を支払いました。次年度以降、企業の配当は5%で増加すると見込まれています。また、投資家はこの企業への投資に対して12%の期待収益率(資本コスト)を求めています。この企業の理論株価は次のように計算できます。

10ドル × (1 + 5%)/(12% − 5%) = 150ドル

定率成長配当割引モデルでは、直近の実績年間配当額から成長率を推定して、将来の予想年間配当額を推測します。直近の実績配当額または当期純利益のみを与えられた場合、予想年間配当金を企業の成長率を使用して計算する方法が次の計算式です。

期待配当額 = 直近の実際年間配当額 × (1 + 成長率)t

t = 年、月、配当の回数など

尚、配当の成長がゼロで配当が将来一定と見込まれる場合は、定率成長配当割引モデルの成長率をゼロとした式を使用します。

非定率成長する普通株式

普通株式の配当は常に一定の割合で増加するとは限りません。むしろ定率成長する前提の方が現実的ではなないかも知れません。

これは、モデル構築の宿命ですが、現実に近づけようとするとモデルが複雑にならざる得ません。よって、非定率成長する普通株式の評価は少し難しくなります。

多くの株式会社は2段階の成長を経験しています。

初期段階での成長は非常に高成長ですが収益は不安定になる可能性があり、2段階目では成長は減速しますが収益は安定すると考えられます。これらの状況では、株価を合理的に計算するために、2段階の配当割引モデルを使用します。

この計算には3つのステップが必要です。

  1. 高成長期における配当の現在価値を合計する。
  2. 定率成長の期間に基づく理論株価を計算してその現在価値を求める。
  3. 上記の2つの数値を合算します。

例えば、R社は今年末に5ドルの年間配当を支払う見込みです。また、今後3年間は年率20%の成長が見込まれ、それ以降は8%の成長が見込まれています。投資家はこのR社について12%の期待収益率(資本コスト)を求めています。この前提での理論株価を計算します。

ステップ1:高成長期における配当の現在価値を合計する。

年度末 配当額 現在価値ファクター @12% 配当額の現在価値
1  5ドル 0.8929  4.47ドル
2 5ドル × (1 + 0.2) = 6ドル 0.7972 4.78ドル
3 6ドル × (1 + 0.2) = 7.2ドル 0.7118 5.13ドル

よって、4.47ドル + 4.78ドル + 5.13ドル = 14.38ドルとなる。

ステップ2:定率成長の期間に基づく理論株価を計算してその現在価値を求める。

ステップ2の計算は、定率成長配当割引モデルを使用します。4年目の配当は3年目の年度末時点で計算します。

7.2ドル × (1 + 8%)/(12% − 8%) = 194.5ドル

次に、現在価値ファクター@12%のテーブルから3年目の現在価値ファクターを使用します。4年目ではないことに注意です。

194.5ドル × 0.7118 = 138.48ドルとなる。

ステップ3:ステップ1とステップ2の現在価値を合算します。

14.38ドル + 138.48ドル = 152.86ドルとなる。

2段階の配当割引モデルに基づく(予想配当額および資本コストを考慮)R社の理論株価は152.86ドルです。

優先株式の評価

優先株式は、基本的には固定配当を支払います。この場合、株価は次のように計算できます。

理論株価 = 1株あたりの配当額/資本コスト

この式は、普通株式の配当が成長しない場合でも使用できます。

例えば、S社は数年前に毎年12ドルを配当する優先株式を発行しました。株式投資家はS社に対して15%の期待収益率(資本コスト)を求めています。この優先株式の株価は次のように計算できます。

12ドル/15% = 80ドル

まとめ

株価における基本的な仕組みを説明しました。

一般的な金融商品に言えることですが、金融商品を評価するフレームワーク(手法)は数学的に証明されていることが多いですが、その手法に当てはめる変数は不明なことがことがほとんどです。

機関投資家と個人投資家はその変数を予想するのですが、この予想が機関投資家と個人投資家でほとんど差がないと言われています。いわゆるアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないことに近い現象です。

高度な数学的素養があれば稼げるわけではないですが、基本的な仕組みを知らないと無知であるがゆえに、高度な数学的素養のある人にうまく搾取される可能性があります。