債券投資に必要な基本的な知識とは?【種類、利回り、リスク】

債券は伝統的資産(国内株式、国内債券、海外株式、海外債券)のひとつであり、投資信託・ETFを通じて保有している投資家も多いです。

ここ数年に限ると、世界的な低金利により債券投資ではリスクに対して魅力的な期待リターンを狙える状況ではないの事実です。

しかし、リスク分散の観点(株式との負の相関等)からは債券保有する価値は残されており、将来的に金利水準が回復してくれば、再び投資機会がでてくる可能性も十分に考えられます。

とはいえ、

  • 債券とは?どんな種類があるの?
  • 債券の利回りは?スプレッドとは?
  • 債券のリスクは?

という方も多いと思います。

そこでこの記事では、債券投資(投資信託・ETFの購入も含め)をはじめる人が知っておくべき絞りに絞った基本知識を、機関投資家の実務的な視点から紹介します。

なお、債券ファンド(投資信託・ETFなど)は複数の債券(種類やリスクの異なる)を一つの箱に入れ込んでコントロールしている金融商品です。

債券投資への第一歩的な位置づけなので、もっと詳しく知りたい人は書籍や本などで調べましょう。


債券とは?

そもそも、債券の定義はどうなっているのでしょうか?英語では、bond/debentureと表記します。

手元にある”基本証券アナリスト用語辞典”によると、

金銭債権を化体した証券であり、公社債ともいう。

となっています。シンプルな説明だけど、わかりにくいですね。

もっと簡単に、『債券とは金銭の貸し借りを証券という金融商品にしたもの』だといえますし、その認識で間違いないです。

たとえば、

  • 額面:100円
  • 金利(クーポン):4%
  • 満期(償還):発行日から20年後

の条件で発行された債券に投資すると、満期までの20年間は毎年4円(税引前)の金利利息を受け取れ、満期日には100円が戻ってきます(債券の発行機関が20年間潰れない限り)。

債券の種類は?

切り口によってさまざまな種類に分類できますが、知っておくべきは2つだけです。

  • 発行機関による分類
    • 国債(国)、地方債(地方公共団体)、政府機関債(公団、公庫などの政府関係機関)、社債(株式会社)、外債(海外機関など)
  • 満期(償還)の期間による分類
    • 1年以下の短期債、1年超5年以下の中期債、5年超10年以下の長期債、10年超の超長期債

もっといえば、最初は発行機関も『国債とそれ以外の債券』と認識しておけばOKです。

国債とは?

国債は債券の代表格ですね。

日本国債なら日本国が保証する債券、米国債なら米国が保証する債券となります。また、日常会話で使われる金利といえば、国債の利回りを指します。

“日本国や米国が保証”するの意味ですが、具体的には政府となり、保証の原資は国民から徴収する税金が当てられます。

原則として、国債はその国が保証しているので利回りは低いですがリスクも低いです。ただし、先進国と新興国では財政状況などが異なるので、利回りやリスクの高い低いは相対的な評価になります。

債券の利回り

一定の期間内における債券の投資収益率を債券利回りといいます。

もう少し噛み砕くと、債券は株式と異なり将来支払われるキャッシュフロー(資金の流れ)が、額面、金利(クーポン)、満期(償還)に基づいて決まっています。

このキャッシュフローを割り引いた現在価値の合計が、その債券の時価と一致するような割引率が債券利回りとなるのです。

現在価値や割り引くなどについて不明な方は、『現在価値と将来価値と年金の違いとは?例題で学ぶ使い方』を参考にしてください。

覚えておくのは、額面に対する金利(クーポン)がそのまま利回りになるのではなく、その時、その時のキャッシュフローの現在価値と時価で利回りは変化するということです。

また、利回りと言っても、計算方法は目的別にいろいろあります。ここでは名前だけ列挙するので、興味があればググると計算式は見つかります。

  • 直接利回り(直利)
  • 最終利回り(利付債、割引債)
  • 平均年限利回り(単利)
  • 保有期間利回り(単利、複利)
  • 実効利回り

金利(利回り)の期間構造

初歩からもう一歩踏み込んだ内容になりますので、読み飛ばしOKです。

ここでは、金利には期間構造があるという簡単な説明だけにとどめますので、もっと詳しく知りたい方は書籍や本が山ほどあります。

  • 純粋期待仮説
  • 流動性プレミアム仮説
  • 市場分断仮説

これらのキーワードで調べるとよいです。

さて、金利の期間構造とは債券の利回り(イールドカーブとも呼ばれる)と償還(満期)の関係を図式化することができます。

上記の4つのカーブは、利回りを示しています。通常、短期金利は長期金利よりも低いため、利回りは右肩上がりになります。しかし、現実には右上がり以外の形状が発生します。

  1. 右上がり
  2. フラット
  3. 右下がり
  4. 山岳型

機関投資家(債券トレーダー)は、将来の金利構造を予想してシナリオ描きながら投資をします。

スプレッド

債券投資のスプレッドは2つです。

  1. 同じ種類、同じ格付け(※)だけれど、満期(償還)の異なる債券の利回り較差
    • 満期まで3年の中期国債と満期まで10年の長期国債の利回り差
  2. 同じ満期(償還)だけれど、種類、格付けの異なる債券の利回り較差
    • 満期まで同じ10年の長期国債とトヨタの社債の利回り較差

1.については、原則的には投資期間が長期なほどリスクは高くなるので、満期までの期間が長いほうが利回りは高くなります。

2.については、同じ期間の国債との利回り較差をT-スプレッド(TはTreasuryですが米国債との利回り較差ではなく自国債です)と呼んだりします。

資産運用の世界では国債(特に先進国)はリスクフリーと考えられており、国債に投資するよりもリスク対比で利回りがどれだけ稼げるのかをひとつの指標にしているからです。

※格付けは、後述の信用リスクで説明

債券のリスク

債券の2大リスクといえば、金利リスクと信用リスクです。他にも流動性リスクなどがありますが、まずはこの2つを抑えましょう。

金利リスク

一般的な債券投資では、満期が確定し、固定金利(クーポン)を受け取るファンド(投資信託・ETF)を保有することになります。個別の債券を保有する場合も同じです。

その場合、金利リスクとは金利上昇によりファンド内の債券の評価額が下落するリスクをいいます。

金利リスクは金利(クーポン)が低い債券、残存期間(満期までの期間)が長い債券ほど大きくなります。

当然、金利リスクを回避(ヘッジ)する方法もありますが、それにはデュレーションという概念を知る必要があります。

でも、個人投資家で債券ファンドを保有するのに金利リスクをヘッジする方は少ないと思います。

信用リスク(クレジットリスク・デフォルトリスク)

債券の発行機関となる自治体や企業が、財務状況の悪化やコンプライアンスやレピュテーションを理由として債務の履行ができなくなったり、その危険性が高まった結果、投資家が損害を受けるリスクをいいます。

米国や日本のような先進国の国債は信用リスクはゼロとするのが金融マーケットの慣習ですが、一方で、国(政府)が財政政策を誤れば債務の履行が不能となる場合もあるのではという考え方もあります。

信用リスクは債券の発行機関が持つ固有の事情が大きく影響するということもあり、独立中立といわれている格付機関が存在します。

  • S&P
  • Moody’s
  • Fitch
  • R&I
  • JCR

など名前を知っている方も多いと思います。

格付の目的は、債務不履行の可能性と不履行の場合の投資家保護であり、財務諸表などの会社情報やインタビューなどから格付けを決めていると推測できますが、詳細は公表されていません(そこがメシの種だからといえばそれまでですが….)。

格付機関の格付表は下記になります。

AAA格が信用度が最も高く、D(Default:デフォルト)は倒産です。

倒産ならば格付けは不要になるのでは?と思われますが、『倒産=債券の価値がゼロ』になるわけではなく企業清算などにより全額でなくとも投資資金の回収が見込まれる場合もあります。

外資系ハイエナファンドと呼ばれたりする企業は、低格付け債券を格安で購入して、経営改善などを行い企業価値を向上させリターンを得るビジネスモデルですね。

  • BBB格以上は投資適格と呼ばれ、利息および元本支払い能力は高い分類
  • BB以下の格付は投資不適格、またはジャンク債と呼ぶ
    • ジャンク債は高利回りまたは低格付の債券
    • ジャンク債のようなリスクの高い債券は、ハイリスク・ハイリターンを狙う限られた投資家向け
  • CCCとDの格付は、債務不履行の可能性が非常に高い分類

格付機関の評価は絶対ではなく、高格付けが付与された企業でも財務状況が急に悪化という可能性も頭の隅にとどめておく必要があります。

    【まとめ】債券投資のメリットとデメリット

    債券とは金融商品なので投資家にとってもメリット(リターン)とデメリット(リスク)があります。

    大きなメリットでありデメリットになるのが、

    • 将来キャッシュフローを確定できる

    ことです。

    投資家は、将来キャッシュフローが確定すれば、満期まで保有するすることで獲得できる利回りがわかります。不確定要素が多い資産運用ではメリットと言っていいでしょう。

    ただし、クーポンは固定利率、発行機関が倒産しない前提です。

    逆に将来キャッシュフローが確定できるのがデメリットにもなります。

    投資家としては将来キャッシュフローを確定できるならば、同じリスクであればリターンが大きいほうがいいに決まっています。

    ということは、

    債券投資直後に金利が上昇して、同じリスクなのに将来キャッシュフローが多い債券が出回ることです(実際はこんな単純じゃないですけど)。当然、金利上昇すれば時価価値も下がります。

    発行機関のメリットデメリットは投資家とは逆になりますね。

    債権投資の基本的な知識のつもりが少し突っ込んだ内容まで書きました。債券の世界は奥が深いので、突き詰めたらきりがないですが、必要最低限は網羅できたと思います。